
58社の証券会社で多要素認証必須化決定でセキュリティ強化…証券会社が不正アクセス対策を講じる
近年、フィッシング詐欺やマルウェアによる顧客情報の漏洩が増加し、不正取引が頻発しています。こうした状況を踏まえ、証券業界はインターネット取引の安全性を高めるため、多要素認証の導入を必須化すると発表しています。
こうした取り組みにより、仮にログイン情報を盗まれた場合でも、単要素認証より被害を防ぐ可能性が高くなります。個人投資家にとっては、セキュリティが向上し、証券会社のサービスを安心して利用できる環境が整えられつつあるということになります。
目次
1注目すべきポイント
証券業界がインターネット取引に多要素認証を必須化
フィッシング被害や不正アクセスの対策
多要素認証の導入によるセキュリティ向上
2証券会社58社がインターネット取引に多要素認証を必須化
証券会社58社(2025年4月25日時点)は、顧客の金融資産を守るためにインターネット取引の多要素認証導入を決定しました。
決定した主な証券会社は以下の通りです。
SBI証券
楽天証券
松井証券
マネックス証券
三菱UFJeスマート証券
SBIネオトレード証券
野村證券
大和証券
SMBC日興証券
岡三証券
その他
合計58社
3フィッシング被害や不正アクセスの対策
多要素認証により、フィッシング詐欺やなりすまし被害へのセキュリティに関する防御力が向上します。ログイン時の本人認証の正確さがアップします。
4多要素認証の導入によるセキュリティ向上
具体的には、IDとパスワードなどの「知識情報」に加え、ユーザーが持つスマートフォンへのショートメッセージによる認証コード「所持情報」入力、また指紋や顔(生体情報)を組み合わせる方法などです。
多要素認証の必須化により、より高いセキュリティレベルで顧客の資産やトレードを保護します。各証券会社で具体的な対応開始時期が異なるため、利用者は確認が必要です。詳細に関しては各証券会社に問い合わせてみて下さい。
5執筆者コメント

6まとめ
多要素認証の必須化により、証券業界はインターネット取引のセキュリティを大幅に向上させることになります。不正アクセス防止策として重要なこの措置は、投資家の金融資産を守る役割を果たします。
一方、多要素認証の導入には手間とコストが伴うため、利用者の適切な理解と対応が求められます。
今後、各証券会社が具体的な実施時期を発表し、利用者のサポート体制を整えることが期待されますが、より安全な取引環境の構築を通じて、個人投資家が安心して投資できる環境となるのが健全な資本市場形成には欠かせません。
7参考資料
執筆者について

泉田 良輔
慶應義塾大学卒業後、日本生命やフィデリティ投信にて証券アナリストやポートフォリオマネージャーとして従事。現在は株式会社モニクルリサーチ代表取締役。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)