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次回は8月15日支給【平均年金月額一覧表】60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上で受給額をチェック

次回は8月15日支給【平均年金月額一覧表】60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上で受給額をチェック

物価の上昇や少子高齢化が進む中で、年金制度の将来に対する不安を感じる人が増えています。

そうした背景から、「年金制度はどう成り立っているのか」「自分はいくら受け取れるのか」といった関心を持つ方も多くなってきました。

制度が複雑に感じられたり、具体的な金額がわからず不安を抱えたままという方も少なくありません。

この記事では、日本の公的年金の基本的なしくみを整理しつつ、現在の受給額の目安についてもご紹介します。

老後の生活を考えるうえでの参考として、役立ててください。

1国民年金だけ?厚生年金ももらえる?日本の公的年金制度のしくみとは

【写真】厚生年金と国民年金の仕組み

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出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

公的年金制度は「2階建て」になっており、1階部分にあたる「国民年金」の上に、2階部分にあたる「厚生年金」が積み上がっている構造です。

原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入するのは「国民年金」で、年金保険料(※1)は全員一律です。保険料を全期間(480月)納付すると、65歳以降で満額(※2)を受給できます。もし未納期間があれば、その期間に応じて満額から差し引かれます。

一方、会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入するのが「厚生年金」です。収入に応じた年金保険料(※3)を納めます。受給額は、加入期間と在職中の収入に応じて計算されます。基本的には、加入期間が長く、収入が高かった人ほど、将来受け取れる金額は多くなります(ただし上限あり)。

※1 国民年金保険料:2025年度は月額1万7510円
※2 国民年金の満額:2025年度は月額6万9308円
※3 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される

2【6月13日支給分から】2025年度の年金額は+1.9%増となりました!

公的年金の支給額は、年度ごとに見直しがおこなわれます。これは物価や現役世代の賃金の動きを踏まえたもので、令和7年(2025年)度の年金額も改定されました。

2025年度は、2024年度より1.9%の引き上げとなっています。

令和7年度の年金額の例

img_22b8c76094769bb7f57063093395b858106369.jpg出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」

2-12025年度の国民年金と厚生年金の年金額例

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(+1308円)

  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)(+4412円)

※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額6万9108円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

上記は「年金例」ですので、実際の受給額はライフスタイルに応じた年金加入状況によって変わります。

あくまで参考として捉え、ご自身の加入状況や今後の働き方などを考慮して、将来の年金見込額を試算することをおすすめします。 

なお、改定された2025年度の年金額は、6月13日支給の4月分から適用されます。

続いては、厚生年金と国民年金の受給額を一覧表をもとに見ていきましょう。

3【年金一覧表】「厚生年金」の平均年金月額 60歳~90歳以上で1歳刻み

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、60歳~90歳以上の各年齢の平均年金月額を確認していきましょう。

まずは厚生年金から見ていきます。

※厚生年金の年金額には、国民年金部分も含みます。

3-1【厚生年金一覧表】60歳代(60〜69歳)

【厚生年金一覧表】60歳代(60〜69歳)

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出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 60歳:厚生年金9万6492円

  • 61歳:厚生年金10万317円

  • 62歳:厚生年金6万3244円

  • 63歳:厚生年金6万5313円

  • 64歳:厚生年金8万1700円

  • 65歳:厚生年金14万5876円

  • 66歳:厚生年金14万8285円

  • 67歳:厚生年金14万9205円

  • 68歳:厚生年金14万7862円

  • 69歳:厚生年金14万5960円

3-2【厚生年金一覧表】70歳代(70〜79歳)

【厚生年金一覧表】70歳代(70〜79歳)

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出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 70歳:厚生年金14万4773円

  • 71歳:厚生年金14万3521円

  • 72歳:厚生年金14万2248円

  • 73歳:厚生年金14万4251円

  • 74歳:厚生年金14万7684円

  • 75歳:厚生年金14万7455円

  • 76歳:厚生年金14万7152円

  • 77歳:厚生年金14万7070円

  • 78歳:厚生年金14万9232円

  • 79歳:厚生年金14万9883円

3-3【厚生年金一覧表】80歳代(80〜89歳)

【厚生年金一覧表】80歳代(80〜89歳)

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出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 80歳:厚生年金15万1580円

  • 81歳:厚生年金15万3834円

  • 82歳:厚生年金15万6103円

  • 83歳:厚生年金15万8631円

  • 84歳:厚生年金16万59円

  • 85歳:厚生年金16万1684円

  • 86歳:厚生年金16万1870円

  • 87歳:厚生年金16万2514円

  • 88歳:厚生年金16万3198円

  • 89歳:厚生年金16万2841円

3-4【厚生年金一覧表】90歳以上

【厚生年金一覧表】90歳以上

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出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 90歳以上:厚生年金16万721円

※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含まれる。

老齢年金の一般的な受給開始年齢は65歳です。65歳以降で見ると、厚生年金の平均月額は14~16万円台となっています。

4【年金一覧表】「国民年金」の平均年金月額 60歳~90歳以上で1歳刻み

続いては、国民年金を確認していきましょう。

4-1【国民年金一覧表】60歳代(60〜69歳)

【国民年金一覧表】60歳代(60〜69歳)

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出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 60歳:国民年金4万3638円

  • 61歳:国民年金4万4663円

  • 62歳:国民年金4万3477円

  • 63歳:国民年金4万5035円

  • 64歳:国民年金4万6053円

  • 65歳:国民年金5万9599円

  • 66歳:国民年金5万9510円

  • 67歳:国民年金5万9475円

  • 68歳:国民年金5万9194円

  • 69歳:国民年金5万8972円

4-2【国民年金一覧表】70歳代(70〜79歳)

【国民年金一覧表】70歳代(70〜79歳)

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出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 70歳:国民年金5万8956円

  • 71歳:国民年金5万8569円

  • 72歳:国民年金5万8429円

  • 73歳:国民年金5万8220円

  • 74歳:国民年金5万8070円

  • 75歳:国民年金5万7973円

  • 76歳:国民年金5万7774円

  • 77歳:国民年金5万7561円

  • 78歳:国民年金5万7119円

  • 79歳:国民年金5万7078円

4-3【国民年金一覧表】80歳代(80〜89歳)

【国民年金一覧表】80歳代(80〜89歳)

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出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 80歳:国民年金5万6736円

  • 81歳:国民年金5万6487円

  • 82歳:国民年金5万6351円

  • 83歳:国民年金5万8112円

  • 84歳:国民年金5万7879円

  • 85歳:国民年金5万7693円

  • 86歳:国民年金5万7685円

  • 87歳:国民年金5万7244円

  • 88歳:国民年金5万7076円

  • 89歳:国民年金5万6796円

4-4【国民年金一覧表】90歳以上

【国民年金一覧表】90歳以上

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出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 90歳以上:国民年金5万3621円

※65歳未満で受給している国民年金の受給者は繰上げ受給を選択した方。

65歳以降の国民年金の平均月額は、いずれの年齢も5万円台でした。

5みんなの「厚生年金と国民年金」 全体の平均額や男女別の平均額は?

ここまで、年齢ごとの平均年金月額を確認してきました。

続いては、男女別に年金月額ごとの人数と、全体の平均額を見てみましょう。

5-1「厚生年金」の平均年金月額

厚生年金の平均額(全年齢)

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出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

5-2「厚生年金」の平均年金月額

  • 〈全体〉平均年金月額:14万6429円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円

  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

※国民年金部分を含む

5-2-1年金月額階級ごとの受給権者数

  • 1万円未満:4万4420人

  • 1万円以上~2万円未満:1万4367人

  • 2万円以上~3万円未満:5万231人

  • 3万円以上~4万円未満:9万2746人

  • 4万円以上~5万円未満:9万8464人

  • 5万円以上~6万円未満:13万6190人

  • 6万円以上~7万円未満:37万5940人

  • 7万円以上~8万円未満:63万7624人

  • 8万円以上~9万円未満:87万3828人

  • 9万円以上~10万円未満:107万9767人

  • 10万円以上~11万円未満:112万6181人

  • 11万円以上~12万円未満:105万4333人

  • 12万円以上~13万円未満:95万7855人

  • 13万円以上~14万円未満:92万3629人

  • 14万円以上~15万円未満:94万5907人

  • 15万円以上~16万円未満:98万6257人

  • 16万円以上~17万円未満:102万6399人

  • 17万円以上~18万円未満:105万3851人

  • 18万円以上~19万円未満:102万2699人

  • 19万円以上~20万円未満:93万6884人

  • 20万円以上~21万円未満:80万1770人

  • 21万円以上~22万円未満:62万6732人

  • 22万円以上~23万円未満:43万6137人

  • 23万円以上~24万円未満:28万6572人

  • 24万円以上~25万円未満:18万9132人

  • 25万円以上~26万円未満:11万9942人

  • 26万円以上~27万円未満:7万1648人

  • 27万円以上~28万円未満:4万268人

  • 28万円以上~29万円未満:2万1012人

  • 29万円以上~30万円未満:9652人

  • 30万円以上~:1万4292人

厚生年金の平均年金月額は、全体で14万6429円でした。

男女別に見てみると、男性は16万6606円、女性は10万7200円となっています。

また、1万円刻みにおけるボリュームゾーンを見ると、100万人を超えているのは年金月額が「9万~12万円未満」および「16万~19万円未満」でした。

5-3「国民年金(老齢基礎年金)」の平均年金月額

国民年金は以下の通りです。

img_4251d188196581ff742aafa00681a3e7760625.jpg出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:5万7584円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円

  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

国民年金は男女の平均年金月額に大きな差はありませんが、厚生年金は男女で6万円もの差が生じています。

要因としては、加入期間や在職中の収入に男女間で大きな差があるからと考えられます。

一般的に、男性の方が女性よりも平均勤続年数が長かったり、男性の方が女性よりも平均収入が高かったりすることが多いため、受給額に影響を及ぼしているのでしょう。

6【もうすぐ年金受給年齢の方へ】年金受給開始時は、何をしたら良い?

ここでは、知っておきたい年金の基本について説明します。

原則として、65歳の誕生日を迎える3カ月前になると、日本年金機構から老齢年金請求書(事前送付用)が送られてきます。

そこにはあらかじめ、ご自身の基礎年金番号や加入記録などが印字されています。

なお、年金の受給開始年齢は原則として65歳ですが、特別支給の老齢厚生年金の支給対象となる場合には65歳を待たずに年金請求書が届きます。

「特別支給の老齢厚生年金」を受け取るための要件は、下記すべてを満たしていることです。

  • 男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれたこと

  • 女性の場合、昭和41年4月1日以前に生まれたこと

  • 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること

  • 厚生年金保険等に1年以上加入していたこと

  • 生年月日に応じた受給開始年齢に達していること

※「特別支給の老齢厚生年金」の受給開始年齢は、生年月日と性別に応じて異なります。詳しくは日本年金機構のホームページでご確認ください。

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出所:日本年金機構「老齢年金請求書の事前送付」

請求書が送られてきたら、同封のパンフレットの提出方法を確認して提出します。提出しないと年金を受給することができませんので、注意しましょう。

※ご注意 なお、60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金を受けている方が65歳になったときは、特別支給の老齢厚生年金に代わり、新たに老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けることになります。この場合は改めて「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」の提出が必要です。

7年金支給は2か月分!やりくりに工夫が必要です

これまで、平均的な年金の受給額についてさまざまな角度から見てきました。

2025年度は1.9%の引き上げが行われ、6月分の支給から新しい金額が反映されています。国民年金は月額6万9308円が標準的な金額とされ、厚生年金は夫婦2人で23万2784円が目安とされています。

受給を始めたばかりの方の中には、2カ月分がまとめて支給されることを知らずに、支給月のうちに使い切ってしまったというケースもあるようです。

現役時代は毎月決まったタイミングで給与が振り込まれていた一方、年金は偶数月ごとの支給に変わります。これまで通りの感覚で支出してしまうと、月の後半で資金が足りなくなるなど、思わぬズレが生じることもあるでしょう。

そのため、これからは2カ月単位でお金を管理する意識が大切になります。

生活費の配分を見直し、使いすぎを防ぐ仕組みを整えることで、年金中心の生活にも少しずつ慣れていけるのではないでしょうか。

8参考資料

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三石 由佳執筆者

三石 由佳2級FP技能士

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)。中央大学文学部社会学科卒業後、みずほ銀行にて確定拠出年金に関する講師として全国の個人投資家向けにセミナーを実施。企業型確定拠出年金(企業型DC)だけでなく、個人型確定拠出年金(iDeCo)も含めた制度や仕組み、投資信託の解説や市況などを伝える。フリーランスを経て、フィンテックベンチャーにて広報を担当。 現在は株式会社モニクルリサーチにて金融関連の取材や自社メディアに関するPR業務も担当

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