退職理由「上司と合わない」の伝え方完全ガイド！面接での言い換え例文と円満退職のコツ

「上司と合わないから仕事を辞めたいけれど、退職理由を正直に伝えても良いのだろうか……」

「転職の面接で、上司との不和をどう説明すればマイナスな印象にならないか不安……」

上司との人間関係は、退職を考える大きなきっかけの一つです。

しかし、伝え方一つで円満退職が難しくなったり、転職活動で不利になったりする可能性があります。

この記事を読めば、上司との関係に悩むあなたが、円満に現在の職場を退職し、次のステップへ自信を持って進むための具体的な方法がわかります。

以下の内容についてご紹介します。

人間関係の悩みから解放され、新たなキャリアを築くためにも、まずは転職エージェントに相談してみるのも一つの方法です。

1退職理由「上司と合わない」の伝え方5つのポイント

上司と合わないことを退職理由として伝える際は、ネガティブな印象を与えず、自身のキャリアの展望を踏まえた建設的な決断であることを示すことが重要です。

感情的な不満ではなく、客観的かつ前向きな視点で伝えるための5つのポイントを解説します。

1-1【伝え方のポイント1】ネガティブな表現を避けて前向きな理由に言い換える

退職理由を伝える際、「上司が嫌い」「人間関係が悪い」といったネガティブな表現をそのまま使うのは避けるべきです。

採用担当者は、「入社後も同じ理由で辞めてしまうのではないか」「協調性に問題があるのではないか」といった懸念を抱く可能性があります。

そのため、たとえ本音が人間関係にあったとしても、それをポジティブな動機に変換して伝える工夫が求められます。

例えば、以下のように言い換えることができます。

このように、不満を成長意欲やキャリアアップへの動機として語ることで、前向きで主体的な人材であるという印象を与えることができます。

1-2【伝え方のポイント2】具体的なエピソードは避けて抽象的に伝える

上司との間にあった具体的なトラブルや、感情的な対立のエピソードを詳細に話すことは避けましょう。

たとえ事実であっても、特定の個人への批判や不満を述べると、聞き手はあなたを「他責思考が強い」「トラブルメーカーかもしれない」と評価してしまうリスクがあります。

重要なのは、事実を客観的かつ抽象的な言葉で表現することです。

例えば、「上司から理不尽な指示が多かった」と話すのではなく、「自身の考えや提案を反映しにくい環境だった」や「組織としての意思決定プロセスに自身の働き方が合わなかった」といった表現にとどめるのが賢明です。

あくまでも個人の問題ではなく、組織の文化や方針、価値観との「ミスマッチ」であったと説明することで、角が立たず、かつ自身のキャリアを見据えた冷静な判断であることを示すことができます。

1-3【伝え方のポイント3】自分の成長やキャリアアップを軸にする

「上司と合わない」というネガティブな動機を、「自身の成長やキャリアアップのため」というポジティブな軸に転換して説明することが最も重要です。

採用担当者は、応募者が過去から何を学び、将来どのように貢献してくれるかを知りたいと考えています。

そのため、「現職では実現できないキャリアプランがある」という点を明確に伝えることができれば、退職理由に説得力が生まれます。

具体的には、以下のような流れでストーリーを組み立てると良いでしょう。

1. 現職での経験と学びを肯定的に語る
   （例：「現職では〇〇の業務を通じて、△△のスキルを身につけることができました」）

2. その経験を通じて新たな目標が生まれたことを示す
   （例：「その経験から、今後はより専門的な□□の分野に挑戦したいと考えるようになりました」）

3. 現職ではその目標達成が難しい理由と、応募先でなら実現できる理由を結びつける
   （例：「現職の環境では□□の経験を積む機会が限られているため、その分野で先進的な取り組みをされている貴社で貢献したいと考えております」）

このように、あくまでも自身のキャリアプランを実現するための前向きな転職であることを一貫して主張することが、好印象につながる鍵となります。

1-4【伝え方のポイント4】会社や上司への感謝の言葉を添える

円満退職を実現するためには、たとえ不満があったとしても、これまでお世話になった会社や上司への感謝の気持ちを伝えることが社会人としてのマナーです。

退職の意思を伝える際に、「これまでご指導いただき、ありがとうございました」「〇〇の経験を積ませていただいたこと、心より感謝しております」といった言葉を添えるだけで、相手の受け取り方は大きく変わります。

感謝の姿勢を示すことで、あなたの誠実な人柄が伝わり、感情的な対立を避けることができます。

また、業界内で人のつながりは意外とあるものです。将来的にどこかで元上司や同僚と関わる可能性もゼロではありません。良好な関係を保ったまま退職することは、長期的なキャリアにとってもプラスに働きます。

1-5【伝え方のポイント5】退職時期と引き継ぎへの配慮を示す

退職の意思を伝える際には、具体的な退職希望日を提示するとともに、業務の引き継ぎに責任を持って対応する姿勢を示すことが不可欠です。

法律上は退職の意思表示から2週間で退職できますが、円満退職を目指すのであれば、会社の就業規則を確認し、後任者の選定や業務の引き継ぎにかかる期間を考慮して、1カ月から3カ月程度の余裕を持って申し出るのが一般的です。

「後任の方へは、私が責任を持って業務内容をすべて引き継ぎますのでご安心ください」「引き継ぎ資料の作成も進めております」といった言葉を添えることで、最後まで責任感を持って職務を全うする姿勢が伝わります。

会社への配慮を示すことは、あなたの社会人としての評価を高め、気持ちよく次のステップへ進むための重要なポイントです。

2面接で使える退職理由の言い換え例文7選

「上司と合わない」という本音の退職理由を、面接で好印象を与えるポジティブな表現に変換するための具体的な言い換え例文を7つ紹介します。

これらの例文を参考に、ご自身の状況に合わせてアレンジし、説得力のある退職理由を準備しましょう。

2-1【言い換え例文1】「新しい環境で自分の可能性を試したい」

「現職では〇〇という業務を通じて、安定した成果を出せるようになりました。この経験に感謝しつつも、現状に満足することなく、より挑戦的な環境に身を置くことで、まだ自分でも気づいていない可能性を試したいと考えるようになりました。貴社の〇〇という新しい事業領域に魅力を感じており、これまでの経験を活かしながら新たな挑戦をしたいと考えております」

この例文は、成長意欲とチャレンジ精神をアピールする際に有効です。

現状維持を良しとせず、常に高みを目指す姿勢を示すことで、主体性のある人材であることを印象づけられます。

2-2【言い換え例文2】「より専門性を高められる職場を求めている」

「現職では幅広い業務を担当し、ゼネラリストとしての基礎を築くことができました。そのなかで、特に〇〇の分野に強い関心と適性を感じ、今後はこの分野のスペシャリストとしてキャリアを深めていきたいと考えるようになりました。貴社は〇〇分野におけるリーディングカンパニーであり、専門性を高めるための最適な環境であると確信しております」

この例文は、自身のキャリアプランが明確であり、計画的に行動できる人材であることを示すのに効果的です。

「仕事が合わなかった」という漠然とした理由ではなく、「特定の分野を極めたい」という具体的な目標を提示することで、説得力が増します。

2-3【言い換え例文3】「異なるマネジメントスタイルのもとで成長したい」

「現職の上司からは、トップダウン型の迅速な意思決定の重要性を学びました。その一方で、今後はチームメンバーの意見を積極的に取り入れ、ボトムアップでプロジェクトを進めていくようなマネジメントスタイルも経験し、自身の視野を広げたいと考えております。貴社のチームワークを重視し、社員一人ひとりの主体性を尊重する文化に強く惹かれました」

この例文は、「上司と合わない」という理由を、成長意欲として巧みに表現する高度な言い換えです。

前職の上司を否定するのではなく、あくまで学びの対象として捉え、さらなる成長のために異なる環境を求めているという前向きな姿勢をアピールできます。

2-4【言い換え例文4】「自分の価値観に合った働き方を実現したい」

「前職では成果を出すことに集中し、多くの経験を積むことができました。その過程で、私自身が仕事において何を大切にしたいのかを深く考えるようになり、顧客と長期的な信頼関係を築くことを最も重視したいという結論に至りました。貴社の顧客第一主義の理念に深く共感しており、私の価値観と一致する環境で貢献したいと考えております」

この例文は、社風や企業文化とのミスマッチを、自身の価値観の明確化というポジティブなストーリーに転換するものです。

単に「合わなかった」ではなく、自己分析の結果として、よりマッチする環境を求めているという論理的な説明が可能です。

2-5【言い換え例文5】「キャリアの方向性を見直したい」

「現職での〇〇の経験を通じて、自身のキャリアについて改めて考える機会を得ました。その結果、これまでの経験を活かしつつも、将来的には△△の分野で社会に貢献していきたいという目標が明確になりました。現職ではそのキャリアパスを実現することが難しいため、新たな挑戦を決意いたしました。貴社の△△事業は業界でも先進的であり、私の目標を実現できる最適な場所だと考えております」

この例文は、将来の目標が明確になったことによる、計画的なキャリアチェンジであることをアピールできます。

前職を否定するのではなく、あくまで自身のキャリアプランの変更が理由であることを示すことで、前向きな印象を与えます。

2-6【言い換え例文6】「チームワークを重視する環境で働きたい」

「前職では個々の担当者が独立して業務を進めるスタイルが中心でした。そのなかで個人の目標達成能力は鍛えられましたが、より大きな成果を出すためには、チーム全体で知識や経験を共有し、協力し合うことが不可欠だと痛感いたしました。貴社の社員インタビューを拝見し、部門を超えた連携が活発であると伺いました。そのような環境で、チームの一員として貢献したいと考えております」

この例文は、人間関係の悩みを「より良いチームワークへの志向」という建設的な意見に転換するものです。

協調性やコミュニケーション能力をアピールできるため、特にチームでの業務が多い職種において有効な伝え方です。

2-7【言い換え例文7】「裁量権のある仕事にチャレンジしたい」

「現職では確立されたマニュアルに沿って正確に業務を遂行する能力を養うことができました。一方で、これまでの経験を活かして、より主体的に業務改善の提案や新しい手法の導入にチャレンジしたいという思いが強くなりました。貴社では若手社員にも積極的に裁量権を与え、挑戦を奨励する風土があると伺っております。そのような環境で、自身の能力を最大限に発揮し、事業の成長に貢献したいです」

この例文は、「上司の指示通りにしか動けない」といった不満を、「自主性を発揮したい」という前向きな意欲として表現するものです。

主体性や責任感の強さをアピールでき、成長意欲の高い人材であることを印象づけることができます。

3「上司と合わない」という退職理由を現職の上司に伝える方法4つのステップ

上司との不和が原因で退職を決意した場合でも、円満退職を目指すためには伝え方に細心の注意を払う必要があります。

感情的にならず、感謝の気持ちを伝えつつ、毅然とした態度で意思を伝えるための具体的な4つのステップを解説します。

3-1【ステップ1】退職の意思を明確に伝える

退職を伝える際は、まず直属の上司にアポイントを取り、「相談」ではなく「報告」として退職の意思が固まっていることを明確に伝えましょう。

「退職を考えておりまして……」といった曖昧な切り出し方をすると、引き止めの余地があると思われ、交渉が長引く原因になります。

「お忙しいところ恐れ入ります。今後のキャリアについて重要なご報告があり、お時間をいただきました。大変申し上げにくいのですが、〇月末をもちまして退職したく存じます」

このように、最初に結論と具体的な退職希望日を伝えることで、あなたの固い決意が伝わり、その後の話し合いがスムーズに進みやすくなります。

3-2【ステップ2】退職理由は簡潔にポジティブに説明する

上司から退職理由を尋ねられた際は、本音である上司との不和には触れず、簡潔かつポジティブな理由を伝えましょう。

ここで長々と不満を述べても、状況が改善することはなく、むしろ感情的な対立を生むだけです。

「自身のキャリアプランを考えた結果、新しい分野に挑戦したいという思いが強くなりました」「家庭の事情により、働き方を見直す必要が出てまいりました」など、会社側が引き止めにくい、個人的かつ前向きな理由を事前に準備しておきましょう。

重要なのは、あくまでも自分の将来のための決断であり、会社や上司への不満が原因ではないという姿勢を一貫して示すことです。

3-3【ステップ3】引き継ぎ計画を具体的に提示する

退職の意思とともに、最終出社日までの引き継ぎを責任を持って行う意欲を具体的に示すことが、円満退職の鍵となります。

「後任の方が決まり次第、スムーズに業務を引き継げるよう、現在担当している業務のリストアップとマニュアル作成を進めております」「最終出社日まで、責任を持って業務を全うし、会社にご迷惑がかからないよう努めます」といった言葉を添えることで、あなたの責任感と誠実さが伝わります。

具体的な引き継ぎ計画を自ら提示することで、会社側も安心して退職手続きを進めることができ、最後まで良好な関係を保ちやすくなります。

3-4【ステップ4】感謝の気持ちを伝えて円満に締めくくる

たとえ上司との間に確執があったとしても、最後は社会人として、これまでお世話になったことへの感謝の気持ちを言葉にして伝えましょう。

「未熟な私をここまでご指導いただき、心から感謝しております」「〇〇課長のもとで働けたことで、多くのことを学ばせていただきました」など、具体的な感謝の言葉を伝えることで、相手の感情を和らげ、円満な退職へと導くことができます。

最後の印象は後々まで残るものです。感謝の言葉で締めくくることで、お互いに気持ちよく次のステップへ進むことができるでしょう。

4上司と合わないことが原因で退職する前に試すべき対処法5選

「上司と合わない」という理由だけで衝動的に退職を決めてしまうと、後悔につながる可能性があります。

転職は最終手段と考え、まずは現職で状況を改善できないか試してみることが重要です。

ここでは、退職を決断する前に検討すべき5つの対処法を紹介します。

4-1【対処法1】人事部門に異動希望を相談する

もし上司との問題が特定の個人に限られており、会社自体や仕事内容に不満がないのであれば、人事部門に部署異動を相談するのが最も有効な解決策の一つです。

異動が認められれば、退職せずに働く環境を変えることができます。

相談する際は、感情的に上司を非難するのではなく、「自身のキャリアプランを考えた結果、〇〇部で経験を積みたい」といった前向きな理由を伝えることがポイントです。

会社によっては社内公募制度などを設けている場合もあるため、まずは自社の人事制度を確認してみましょう。

4-2【対処法2】上司とのコミュニケーション方法を見直す

関係が悪化している原因が、コミュニケーションのすれ違いにある可能性も考えられます。一度立ち止まり、上司との関わり方を見直してみましょう。

例えば、報告・連絡・相談のタイミングや方法を工夫するだけで、相手の反応が変わることがあります。

「結論から話す」「こまめに進捗を報告する」「メールだけでなく口頭でも補足する」など、小さな改善を試みる価値はあります。

また、上司の立場や責任を理解しようと努めることで、これまでとは違った視点が得られ、反発心が和らぐこともあります。

すぐに転職を決める前に、自分から関係改善の努力をしてみることも一つの手です。

4-3【対処法3】信頼できる先輩や同僚に相談する

一人で悩みを抱え込まず、社内の信頼できる先輩や他の部署の上司、同僚に相談してみましょう。

客観的な第三者の視点からアドバイスをもらうことで、自分では気づかなかった解決策が見つかることがあります。

同じような経験を持つ人から具体的な対処法を聞けたり、あなたの状況を理解してくれる人がいるとわかるだけでも、精神的な負担は軽減されます。

ただし、相談相手は慎重に選ぶ必要があります。口が軽く、噂話として広めてしまうような人は避け、本当に信頼できる人物に限定して相談することが重要です。

4-4【対処法4】産業医やカウンセラーに相談する

上司との関係が原因で精神的なストレスを感じている場合は、会社の産業医やカウンセリング窓口、外部の専門機関に相談することも有効な手段です。

専門家は守秘義務を守りながら、あなたの状況を客観的に分析し、専門的な視点から具体的なアドバイスを提供してくれます。

ストレスの原因を言語化し、専門家と対話するなかで、自分自身の感情や考えが整理され、冷静な判断ができるようになります。

会社に相談窓口がない場合でも、厚生労働省が運営する「総合労働相談コーナー」などで無料で相談することが可能です。

4-5【対処法5】一定期間様子を見て冷静に判断する

上司から厳しい叱責を受けたり、理不尽な対応をされたりした直後は、感情的になり「今すぐ辞めたい」という気持ちが強くなりがちです。

しかし、一時的な感情で重大な決断を下すのは危険です。

まずは数日から数週間、意識的に距離を置く「冷却期間」を設けてみましょう。その間に、なぜ合わないと感じるのか、何がストレスの原因なのかを客観的に分析します。

時間が経つことで冷静さを取り戻し、衝動的な退職ではなく、長期的なキャリアを見据えたうえで「本当に転職すべきか」を判断できるようになります。

5上司と合わないストレスで心身の健康を損なった場合の対応方法

上司との関係による過度なストレスは、心身の健康を損なう事態につながる可能性があります。

自身の健康を守ることを最優先に考え、適切な対応を取ることが重要です。ここでは、具体的な対応方法を4つのステップで解説します。

5-1【対応方法1】まずは医療機関を受診して診断書をもらう

「寝付けない」「食欲がない」「仕事に行こうとすると涙が出る」といった心身の不調が続く場合は、ためらわずに心療内科や精神科などの医療機関を受診しましょう。

専門医による診察を受けることで、現在の症状が精神的なストレスによるものなのか、治療が必要な状態なのかを客観的に判断してもらえます。

医師から適応障害やうつ病と診断された場合は、必ず診断書を発行してもらいましょう。この診断書は、後の休職手続きや、場合によっては労災の申請などにおいて、あなたの健康状態を証明する重要な公的書類となります。

5-2【対応方法2】会社の人事部門に健康状態を報告する

医師から診断書を受け取ったら、直属の上司ではなく、まず人事部門や労務担当者に健康状態を報告・相談しましょう。

会社には、従業員が安全で健康に働けるように配慮する「安全配慮義務」があります。人事部門は従業員の健康管理に関する専門部署であり、プライバシーに配慮しながら今後の対応について相談に乗ってくれます。

直接上司に伝えにくい内容であっても、人事部門を通じて客観的な事実として伝えることが重要です。

5-3【対応方法3】休職制度の利用を検討する

医師から休養が必要と判断された場合は、無理して働き続けず、会社の休職制度を利用することを検討しましょう。

多くの会社では、私傷病による休職制度が設けられており、一定期間、治療に専念することができます。

休職期間中は、一定の条件を満たせば健康保険から傷病手当金が支給される場合が多く、経済的な不安をある程度軽減しながら療養に集中できます。

ストレスの原因となっている職場から一時的に離れることで、心身の回復を図り、今後のキャリアについて冷静に考える時間を持つことができます。退職という大きな決断を下す前に、まずは回復を最優先する選択肢として休職を考えましょう。

5-4【対応方法4】復職が難しい場合は退職も視野に入れる

休職期間中に十分な療養を行っても、原因となった上司がいる職場への復職が精神的に困難であると判断した場合は、退職もやむを得ない選択肢です。

自身の健康を守ることが何よりも重要です。復職へのプレッシャーを感じて無理をすると、症状が再発・悪化する可能性があります。

休職期間中に転職活動の準備を進め、体調が回復したタイミングで新たな環境へ移ることも一つの方法です。

その際は、休職の事実を正直に伝えつつも、「治療を経て、現在は業務に支障がない状態まで回復している」ことと、今後のキャリアに対する前向きな意欲を伝えることが大切です。

6本音は「上司と合わない」……退職理由を面接で聞かれた際のNG回答例5選

面接で退職理由を伝える際、「上司と合わない」という本音をそのまま話してしまうと、採用担当者にネガティブな印象を与えかねません。

ここでは、面接で避けるべき具体的なNG回答例を5つ挙げ、なぜそれが不適切なのかを解説します。

6-1【NG回答例1】上司の悪口や批判を具体的に述べる

「前職の上司は気分屋で、指示が二転三転してばかりでした。部下の意見を全く聞かず、自分のやり方を押し付けるタイプだったので、非常に仕事がやりにくかったです」

このような具体的な個人攻撃は、最も避けるべき回答です。

たとえ事実であっても、他者を批判する姿勢は「協調性がない」「不満が多い人物」という印象を与えます。

採用担当者は「入社後も、気に入らないことがあれば上司や会社の悪口を言うのではないか」と懸念を抱くでしょう。

6-2【NG回答例2】「自分は悪くない」と責任転嫁する

「上司のマネジメント能力が低かったせいで、チームの士気が下がり、成果が出ませんでした。私は自分の役割を果たそうとしましたが、環境が悪すぎました」

問題の原因をすべて上司や環境のせいにする責任転嫁の姿勢は、自己分析能力の欠如と捉えられます。

どのような困難な状況でも、自分なりにどう工夫し、改善しようと試みたのかという視点がなければ、主体性のない人材だと判断されてしまいます。

採用担当者は、環境のせいにするのではなく、その状況下でどう行動したかを知りたいと考えています。

6-3【NG回答例3】感情的な表現で不満をぶつける

「とにかく理不尽で、毎日ストレスで限界でした。もうあの職場にはいたくありませんでした」

「とにかく」「限界だった」といった感情的な言葉で不満を表現すると、論理的思考力やストレス耐性が低いと見なされる可能性があります。

ビジネスの場では、感情をコントロールし、客観的な事実に基づいて冷静にコミュニケーションをとる能力が求められます。

感情的な退職理由は、プロフェッショナルな姿勢に欠けると判断され、採用を見送られる一因となります。

6-4【NG回答例4】パワハラやいじめの詳細を長々と語る

「上司から毎日のように人格を否定するような言葉を浴びせられ、他の社員の前で叱責されることもありました。具体的には……（詳細なエピソードが続く）」

たとえパワハラが事実であったとしても、その詳細を長々と話すのは得策ではありません。

面接の場は、あなたの辛い経験を訴える場ではなく、あなたの能力や将来性をアピールする場です。

ネガティブな話に時間を使いすぎると、本来伝えるべき自分の強みや意欲が伝わりにくくなります。

もし触れるのであれば、「コンプライアンス意識の高い環境で働きたい」といった形で、簡潔に、かつ前向きな志望動機につなげることが重要です。

6-5【NG回答例5】「上司と合わなかった」とストレートに伝える

「退職理由は、一言で言うと上司と合わなかったからです」

最もシンプルですが、最もリスクの高い回答です。

この一言だけでは、採用担当者は「具体的に何が合わなかったのか？」「応募者本人に問題があったのではないか？」「うちの会社の上司とも合わなかったらまた辞めるのでは？」といった様々な憶測を巡らせます。

コミュニケーション能力や環境への適応力に疑問符がつき、それだけで不採用となる可能性も十分にあります。

必ず、前向きなキャリアプランに結びつけた言い換え表現を使いましょう。

7引き止められない退職理由の伝え方3つのコツ

退職の意思を伝えた際に、上司から強い引き止めにあい、なかなか辞めさせてもらえないケースは少なくありません。

円満かつスムーズに退職手続きを進めるためには、相手に「引き止めても無駄だ」と納得してもらう伝え方が重要です。

ここでは、引き止めを回避するための3つのコツを紹介します。

7-1【コツ1】個人的な事情を理由にする

「家族の介護が必要になった」「配偶者の転勤に帯同する」といった、会社側の努力では解決できない個人的な事情を理由にすると、強い引き止めにあいにくくなります。

給与や待遇、業務内容に関する不満は、会社側が「改善するから残ってほしい」と交渉の余地を与えてしまいます。

しかし、家族の事情や健康上の理由といったプライベートな問題は、会社が介入しにくいため、相手も納得せざるを得ません。

ただし、全くの嘘をつくのはリスクが伴います。後々矛盾が生じないよう、事実に基づいた、あるいは事実と矛盾しない範囲で理由を構成することが重要です。

7-2【コツ2】明確な退職時期を提示する

退職の意思を伝える際に、「〇月末で退職したく存じます」と具体的な日付を明確に提示することが重要です。

「近いうちに辞めたいと考えています」といった曖昧な伝え方では、上司に「まだ迷っている」「説得の余地がある」と判断され、引き止めの対象になりやすくなります。

すでに転職先が決まっている場合は、「次の会社への入社日が決まっております」と伝えるのも効果的です。物理的に覆すことができない事実を提示することで、引き止めを断念させることができます。

7-3【コツ3】意思が固いことを毅然とした態度で示す

上司からの引き止めに対しては、感謝の意を示しつつも、退職の意思は変わらないことを毅然とした態度で伝えましょう。

「お気持ちは大変ありがたいのですが、自分自身で熟考を重ねたうえでの決断ですので、意思は変わりません」とはっきりと伝えることが大切です。

ここで曖昧な態度を取ったり、申し訳なさそうな素振りを見せすぎたりすると、「もう少し説得すれば考えを変えるかもしれない」と期待させてしまい、引き止めが長引く原因になります。

丁寧な言葉遣いと感謝の姿勢は保ちつつ、決意が固いことを明確に伝えることで、相手もあなたの意思を尊重してくれるでしょう。

8まとめ

「上司と合わない」という退職理由は、多くの人が抱える悩みですが、その伝え方には細心の注意が必要です。

現職の上司に伝える際は、不満を述べずに感謝の気持ちを示し、キャリアアップや家庭の事情といった個人的かつ前向きな理由を簡潔に伝えることで、円満退職につながります。

一方、転職の面接では、退職理由を自身の成長意欲やキャリアプランと結びつけ、ポジティブな動機として語ることが重要です。「新しい環境で挑戦したい」「専門性を高めたい」といった言い換えを活用し、主体性や協調性をアピールしましょう。

感情的に退職を決める前に、異動の相談やコミュニケーションの見直しといった対処法を試すことも大切です。もし心身に不調を感じる場合は、迷わず医療機関を受診し、休職や退職も視野に入れて自身の健康を最優先してください。

適切な伝え方と準備をすることで、「上司と合わない」というネガティブなきっかけを、より良いキャリアを築くためのポジティブな一歩に変えることができます。

9よくある質問