執筆者: MeChoice編集部
くらしとお金の課題解決サービス「Mechoice」。様々な領域で活躍される皆さんに、専門分野について分かりやすく解説してもらう企画「専門家インタビュー」を始めました。専門家の思いや考えを忌憚なく語っていただきます。
今回は、元銀行員で現在はくらしとお金の経済メディア「LIMO」記者として従事している和田直子氏（証券外務員一種）にお話を伺いました。
専門家
和田 直子 LIMO編集部記者/一種外務員資格/元銀行員
１和田直子さんのご経歴
和田 大学卒業後、都市銀行・信託銀行で約14年勤務。お客様のご意向やライフプランをお伺いしながら、預金・リスク商品や贈与、遺言などのトータルアドバイスを行っていました。
小1の壁にぶちあたり、潔く退職。フリーランスのライターを経て、現在の株式会社モニクルリサーチに入社しました。
和田 FXは兼業で行っています。集中力がいるので、平日、疲れている時にはトレードをしません。
和田 銀行員時代、担当していたお客様からFXをすすめられたのがきっかけです。最初は、「FX＝リスクが高いもの」というイメージが強かったので、ただお話を聞いているだけ。まさか自分がFXを始めるとは思ってもいませんでした。
銀行を退職後、フリーランスでライターをしていた期間があるのですが、ふとFXのことを思い出し、「経験」として少額トレードをやってみたところ、その魅力にはまってしまいました。
和田 インターネットバンキングで為替差益を狙った外貨普通預金の入出金をしていたので、FX取引のイメージはしやすかったです。FXと外貨預金との違いは、FXが証拠金取引（預けたお金を担保に倍以上の取引が可能）であることなので、あらためてその仕組みやリスクの高さを理解するところから始めました。
これと並行して、デモトレードを行い、実際の売買のタイミングや操作などの感覚を掴んでいきました。
和田 米ドル円（USD/JPY）です。なじみのある通貨だったことと、FXのノウハウ系のサイトに初心者におすすめの通貨ペアと書いてあったことから迷いなく米ドル円でトレードを始めました。
和田 スキャルピングです。スキャルピングは、小さな利益をコツコツ積み上げていく手法なので、注文から決済までの時間が数秒～5分程度になります。ポジションを長く持たないため、勝っても負けてもスッキリした気持ちで寝ることができます。
最初はポジションの保有時間を意識せずにトレードしていたので、ポジションを数日持ち越すこともありました。1トレードあたりで獲得できる利益は大きくなるのですが、寝ている間にレートが大きく動くことへの恐怖の方が勝ってしまい、スキャルピングに行きつきました。
和田 移動平均線です。トレード前には、チャートに移動平均線を表示させ、トレンドラインを引いて、相場のトレンド（方向性）を確認します。トレンドを把握できたら、ローソク足の形や移動平均線・ラインとの位置関係を見ながらトレードを行っています。
たくさんのテクニカル指標があるため、最初はどれを使えばいいか迷うかもしれません。デモ口座で
さまざまなテクニカル指標を使ってみて、自分に合うものを見つけることをおすすめします。
２初心者がFX口座を選ぶ際に気を付けた方がよいこと
和田 FX口座を選ぶ際は、信頼性のある口座であること・約定力が高いこと・スプレッドが狭いこと（取引手数料も確認）・最小取引単位を確認してください。
約定力の高さはFX取引のパフォーマンスにも大きく影響します。処理能力が低く、希望したレートから大きく乖離すれば狙った利益を獲得できません。とくに短期売買を行う際には、約定が遅れて結果的に損失になる可能性もありますので、約定力に定評のある口座を選ぶことをおすすめします。
また、コスト（スプレッドや取引手数料）は最小限に抑えておきたいです。取引単位についてもFX業者により異なるため、少額トレードを希望する場合は最小取引単位が低い口座を選びましょう。
FX口座は日本の金融庁の許可を受けている国内FX口座のほかに、海外の金融ライセンスを取得しているものの日本の金融庁の許可を受けていない海外FX口座があります。海外FX口座で、悪質な出金拒否や口座凍結などでのトラブルが発生したケースもあるのでご注意ください。
和田 できる限り少額で始めてトレード経験を積みたいなら「松井証券のFX」や「SBI FXトレード」がおすすめです。
スキャルピングからスイングまで幅広くトレードをしたいなら「ヒロセ通商（LION FX）」、スワップポイントを狙ってじっくりトレードをしたいなら「みんなのFX」です。
和田 「松井証券のFX」・「SBI FXトレード」は、最小取引単位が1通貨です。ワンコイン（500円）からFXトレードができるので、デモトレードでは味わえないリアルな緊張感をもった取引を少額で体験できます。
「ヒロセ通商（LION FX）」は約定力が高く、スキャルピングも公認しています。取扱通貨ペアも豊富であらゆるトレード手法に対応できるスペックを持っているので、中級・上級トレーダーになってもずっと使い続けられる口座です。
スワップポイントを狙ってじっくりトレードをしたいなら「みんなのFX」です。スワップポイントは、2カ国間の金利差でポジションを保有している間、毎日付与されます。為替差益だけでなくスワップポイントを狙ったトレードもしたいなら、スワップポイントの高さに定評のあるみんなのFXがおすすめです。
3基礎から確認！FX積立の活用法
和田 FX積立は、一括投資ではなく毎日・毎週・毎月といったペースでFX投資を行うハイブリッドなFXトレードです。投資タイミングを分散することで、購入単価を平準化できるのが魅力となります。
利用する口座により異なりますが、FX積立は最大レバレッジが1～3倍程度と、通常のFXトレードより低く設定されています。また、FX積立は「売り」から入ることはできません。定期的に「買い」注文のみを行うことになります。
和田 FX積立は、お使いの口座を利用して手動で行うことも可能です。ただし、FX積立は長期的に積み立てながら資産を増やしていくことが目的なので、通常のFX取引と同じ高いレバレッジをかけるのは危険です。
自動でFX積立を行いたいなら「SBI FXトレード」か「外為どっとコム」の2社になります。どちらも1通貨から積立が可能ですので、ワンコインでコツコツFX積立を楽しめます。
FX積立はポジションを長く保有することになるのでスワップポイントにも注目しておきましょう。両社でスワップポイントに違いがありますので、取引したい通貨ペアのスワップポイントを比較して利用口座を選択するのがおすすめです。
和田 わたしがそうだったように、「FX＝危険」という認識をもっている人は少なくないでしょう。日本でFXが始まったころのレバレッジは最大400倍。10万円で4000万円分の取引ができたため、大きな利益をあげる人がいる一方で、10万円が何百万円もの損失に変わって追加証拠金の入金を迫られる人もいました。
しかし、2009年～2010年にかけて金融庁によりレバレッジが最大50倍に、2011年には最大25倍に制限され現在に至ります。ワンコイン程度の少額から始められることもあり、適切なトレードを心がければ通貨の売買を楽しめるでしょう。
