元銀行員が徹底解説!住宅ローンの賢い組み方・返し方とは?

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くらしとお金の課題解決サービス「Mechoice」。様々な領域で活躍される皆さんに、専門分野について分かりやすく解説してもらう企画「専門家インタビュー」を始めました。専門家の思いや考えを忌憚なく語っていただきます。

今回は、元銀行員で現在はくらしとお金の経済メディア「LIMO」記者として従事している2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)の中本 智恵氏にお話を伺いました。

中本さんプロフィール写真 専門家

中本 智恵 LIMO編集部記者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)/元銀行員

武庫川女子大学文学部卒業後、株式会社三菱UFJ銀行に入社。国内外株式の仲介、国内外の債券、投資信託、生命保険、住宅ローンなどの販売を通じ、主に個人顧客向けに資産運用提案業務に従事した。特に投資信託、保険商品の提案を得意とし、豊富な金融知識を活かした丁寧で分かりやすい提案が強み。表彰歴多数。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)保有。

中本智恵さんのご経歴

これまでのご経歴についてお聞かせください。

 

中本 大学卒業後、都市銀行に入社し、ローテラーの窓口で資産運用や諸届、住宅ローン手続きを担当していました。

窓口に来店されたお客様に対して資産に関するご相談をお伺いし、そのご意向に沿った金融商品を提案することを主な業務として行っていました。

現在のご職業につかれたきっかけなどがあればお聞かせください。中本さんのご専門や保有されている資格についてお聞かせください。

 

中本 都市銀行を退職後、育児と両立しやすいライティング業務に転向しました。教育や資産運用に関する執筆を経て、ご縁があり2024年にモニクルリサーチに入社。

現在はコンテンツ編集本部編集長室で主にマネー記事の編集を担当しています。資格として、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)を保有しています。

住宅ローンの賢い組み方・返し方

住宅ローンは何歳まで借りられるかを教えてください。

 

中本 一般的に、住宅ローンは「満18歳以上70歳未満」が申込時年齢の目安とされています。完済時年齢の上限は、ほとんどの金融機関で「80歳未満」とされています。

なお、多くの金融機関は「完済時年齢」を重視する傾向にあるように思います。申込時年齢と完済時年齢については金融機関ごとに設定が異なるので、年齢面で懸念のある方は住宅ローンを申し込む際に確認してみるとよいでしょう。

頭金はいくら入れたらよいかを教えてください。

 

中本 頭金は1割(10%)程度でもローンを組むことは可能ですが、住宅価格の2割(20%)以上の頭金があれば金利を引き下げる特典がつく場合があります。

また、金融機関は頭金の額を申込者の返済能力として考えることも少なくありません。可能であれば2割を目安に検討するのがおすすめです。

とはいえ、住宅ローンを組むには頭金以外にも登記費用や引越し費用、仲介手数料などの諸費用もかかります。これらの費用も考慮して、無理のない範囲で頭金を用意しましょう。

諸費用はいくらかかるかを教えてください。

 

中本 住宅ローンの諸費用は、借り入れ金額やローンの種類、利用する金融機関によって異なりますが、一般的には借入金額の5~10%程度が目安となります。主に以下のようなものが諸費用として挙げられます。

  • 保証料または事務手数料
  • 仲介手数料
  • 登記費用
  • 火災保険・地震保険料
  • 印紙代
  • 司法書士報酬等

住宅ローンを利用する際は借入金額だけでなく、諸費用も意外と負担が大きくなるポイントです。あらかじめ諸費用を含めた支出金額をシミュレーションしておき、支払いできる金額かどうか検討しておくことが大切です。

元利均等・元金均等返済どちらがおすすめかを教えてください。

 

中本 元利均等返済は返済額を一定にして計画的に返済したい人、初期の返済負担を抑えたい人におすすめです。元金均等返済は総返済額が少なくなりますが、初期の返済金額が高くなるのがネックです。

元金均等返済では、毎月一定の「元金」を返済するため、返済初期から元金がどんどん減少します。金利が上昇しても、すでに元金が減っているため、金利の上昇による利息負担が抑えられるのがメリットです。

特に、現在のような金利上昇局面では、元金均等返済がよいでしょう。会社員のように安定した収入がある場合、初期の負担に耐えることで将来的な利息負担を減らし、金利リスクに備えられます。

住宅ローンを契約する際に団信の特約(三大疾病・がん)はつけるべきかを教えてください。

 

中本 団信の特約(三大疾病・がん)をつけるべきかどうかは、働き方などに応じて決めるのがおすすめです。

たとえば、福利厚生が充実している会社員の場合、病気やケガで働けなくなっても傷病手当金や休業補償が受けられるため、必ずしも特約が必要とは限りません。

一方、個人事業主などの場合は、収入が途絶えた場合に生活への影響が大きいため、特約をつけておくと安心です。住宅ローンは返済計画が長期間になることが多いため、特約をつけるかどうかは将来の不確実性も考慮して総合的に考えるとよいでしょう。

特約をつけるなら、金利上乗せか保険料支払いのどっちがお得かを教えてください。

 

中本 金利上乗せ型はシンプルで、月々の支払いが一貫しているため管理がしやすいのが特徴です。保険料支払い型は、状況に応じて借入後に解約できる点が特徴です。

また、保険料が所得控除(介護医療保険料控除)の対象となるため、年末調整や確定申告で申告できるのもメリットといえます。もし金利上乗せによる総支払額が許容範囲内で、かつ支払額を簡単に把握したい場合は、金利上乗せ型がおすすめです。

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3初心者が住宅ローンを選ぶ際に気を付けた方がよいこと

住宅ローンの契約は「店舗に来店」「ネットで手続き」のどちらがよいでしょうか?

 

中本 住宅ローン契約は「店舗来店」か「ネットで手続き」が選べますが、それぞれにメリットがあるので比較して検討するとよいでしょう。

「店舗来店」のメリットは対面サポートが受けられる点です。住宅購入時だけでなく返済できなくなった時や、売却したい時に相談できる窓口があるのが安心できるポイントです。

一方、「ネットで手続き」は店舗よりも低い金利で融資を受けられるのが最大のメリット。また、ネット銀行の住宅ローンは、パソコンやスマホから申し込みが可能で、仮審査から本審査まですべてネット上で完結します。

書類の準備や郵送は必要ですが、24時間対応で銀行窓口の営業時間に縛られることもありません。基本的に全国どこでも対応可能(一部離島除く)なので、忙しい人や近くに銀行がない場合でも利用しやすいのがメリットです。

「ネットで手続き」を選ぶ際の注意点を教えてください

 

中本 「ネットで手続き」を選ぶ際の注意点として、まず、対面サポートが少ないため、直接相談できる機会が限られていることが挙げられます。

住宅ローンに関する質問や不安があっても、すぐに解決できない場合があります。また、必要な書類、例えば住民票や物件に関する書類を自分で準備して、その書類に不備が生じていた場合は融資の実行まで時間がかかることがあります。

ネットで手続きをする場合、事前審査はスムーズに進む場合が多いですが、本審査が長引くのが注意点でもあります。契約から引き渡しまでの期間が短い場合には注意しましょう。

「ネットで手続き」を選ぶなら、どこの銀行口座がおすすめか教えてください。

 

中本 ネットで住宅ローン手続きを行うなら楽天銀行、住信SBIネット銀行、auじぶん銀行などがおすすめです。

楽天銀行は日本最大級のネット銀行で、住宅ローンの乗り換えキャンペーンなども随時行われています。また、楽天ポイントが貯まる点も魅力のひとつです。

住信SBIネット銀行は、住宅ローンの金利が非常に低く、金利重視の方におすすめのネット銀行です。auじぶん銀行は、特にauユーザーにとってはメリットが多く、割引や特典が豊富です。auのサービスと連携して利用できる点も強みとなっています。ご自身のニーズに合わせて銀行を選ぶとよいでしょう。

4ネットで完結する住宅ローン

ネット銀行の住宅ローンのメリットについて教えてください。

 

中本 ネット銀行は実店舗を持たないため、店舗型の銀行よりも金利が低いことが多く、借入額が大きい場合でも支払い負担を軽減できます。

また、ネット銀行の住宅ローンは、申請から契約までの手続きが原則すべてオンラインで完了します。パソコンやスマホで24時間いつでも手続きが可能なため、忙しい人でも銀行窓口に行かずに手続きができるのも強みです。

ネット銀行で住宅ローンを借りるときの注意点を教えてください

 

中本 ネット銀行で住宅ローンを借りる際は対面でのサポートがありません。書類の不明点などがあった場合、原則電話やメールでの問い合わせになるため、回答までに時間がかかることがあります。また、ネット銀行の住宅ローン審査は店舗よりも条件が厳しくなることが多く、審査に時間がかかりがち。

時間に余裕をもった申し込み手続きが必要です。サービスや条件がわかりづらいこともあるので、ネット銀行で住宅ローンを借りるときは事前に内容を十分に精査してから申し込むようにしましょう。

中本さん一押しの組み方・返し方があれば理由とともに教えてください

 

中本 昨今の金利情勢を考えると、やはりまだまだ低金利が続くと思われます。このことから、現状では変動金利で住宅ローンを組むのがおすすめです。

団信は万が一のことがあった場合に備えて、3大疾病の特約をつけておくと安心でしょう。返し方については、初期返済額の負担が気にならない場合、元金均等返済がおすすめです。

最後に読者にメッセージをお願いします。

 

中本 住宅ローンを選ぶ際は、金利タイプ(固定・変動)や返済期間、手数料の違いをよく確認しましょう。ネット銀行は金利が低いのが一番のメリットですが、その分対面対応がないため、疑問があれば電話やメールでの確認が必要です。

一方、店舗は対面でのサポートが受けられますが、金利が高めになることがあります。住宅ローンは申し込み段階で悩むことが多いですが、実際には融資が実行となってからがスタートです。完済までの期間、ご自分のライフプランや返済能力がどのように変化していくかを踏まえ、どの住宅ローンが適しているか慎重に検討することが大切です。

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