

【物価高騰対策の給付金】申請しないともらえない「公的なお金」5選!具体的な支給要件や給付額を解説
毎日物価高騰に関するニュースを見ない日はありません。
物価高騰の対策として、年金生活者であるシニアに対しても数々の支援策が講じられています。
これらの支援を受けるには、支給要件を満たす必要がありますが、申請や手続きをしないと給付金や手当が受け取れない場合があるので注意が必要です。
そこで今回は、申請しないともらえないシニアを対象とする給付金を5つご紹介していきます。申請忘れがないか、確認していきましょう。
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1申請しないともらえない《公的なお金 3選~雇用保険関連~》
最初は、働き続けるシニアが気になる、就労に関連する給付金や手当について見ていきます。
シニアの就労を支援する制度は整いつつありますが、一般的には60歳を境に収入が下がる傾向があります(※)。
加えて、現役時代とは違い、シニアの就労継続や再就職は必ずしもスムーズに進むケースばかりではないでしょう。
今回は、雇用保険に関連する手当や給付金から3つ紹介します。
※国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」による年齢階層別の平均給与:50歳代後半男性712万円、女性330万円、60歳代前半男性573万円・女性278万円、60歳代後半男性456万円・女性222万円
1-1申請しないともらえない《公的なお金 1》再就職手当(65歳未満)
再就職手当は、早期の再就職を促進するための手当で、「失業~再就職」「失業~事業開始」までの期間が短いほど、支給額が多くなります。
1-1-1再就職手当【誰がもらえる?】支給要件
対象者:雇用保険受給資格者で基本手当の受給資格がある人
支給要件:対象者が雇用保険の被保険者となる、または事業主となって雇用保険の被保険者を雇用する場合で、基本手当の支給残日数(就職日の前日までの失業の認定を受けた後の残りの日数)が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給
1-1-2再就職手当【いくらもらえる?】給付率
手当の額:就職等をする前日までの失業認定を受けた後の基本手当の支給残日数により下記のとおり給付率が異なります。(1円未満の端数は切り捨て)
所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残して就職した場合は「支給残日数の60%」
所定給付日数の3分の2以上の支給日数を残して就職した場合は「支給残日数の70%」
再就職手当の額
なお、再就職手当を受け取り再就職先で6カ月以上雇用され、かつ再就職先での6カ月間の賃金が離職前の賃金よりも少ない場合は「就業促進定着手当」の対象となります。
1-2申請しないともらえない《公的なお金 2》高年齢雇用継続給付
高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満の人が就労を続ける際、賃金が60歳到達時よりも減少した場合に支給される給付金です。
1-2-1高年齢雇用継続給付【誰がもらえる?】支給要件
対象者:雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者
支給条件:賃金が60歳時到達時の75%未満となった状態で働き続ける場合
1-2-2高年齢雇用継続給付【いくらもらえる?】支給率
支給額:最高で賃金額の10%(※)相当額
※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たす人は15%
【早見表】高年齢雇用継続給付(2025年4月1日以降)
出所:厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」
老齢年金を受給しながら、厚生年金に加入して「高年齢雇用継続給付」を受け取る場合、在職による年金の支給停止に加え、最大で標準報酬月額の4%(※)に相当する金額が支給停止となる点に留意しておく必要があります。
※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たす人は6%
1-3申請しないともらえない《公的なお金 3》高年齢求職者給付金(65歳以上)
高年齢求職者給付金は、65歳以上の方が失業した際に支給される給付金です。
1-3-1高年齢求職者給付金【誰がもらえる?】支給要件
対象者:高年齢被保険者(65歳以上の雇用保険加入者)で失業した人
支給要件:下記の全ての要件を満たした人
離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上ある
失業の状態にある:離職し「就職したいという積極的な意思といつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があり積極的に求職活動を行っているにもかかわらず就職できない状態」を指す
1-3-2高年齢求職者給付金【いくらもらえる?】給付金額
高年齢求職者給付金の額
出所:厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」
支給額
被保険者であった期間が1年未満:30日分の基本手当相当額
被保険者であった期間が1年以上:50日分の基本手当相当額
なお、65歳未満が受け取る「失業手当」は4週間に一度ずつ失業認定を受けてから給付されるのに対し、この高年齢求職者給付金は一括で支給されます。
2申請しないともらえない《公的なお金 2選~老齢年金上乗せ~》
次に、老齢年金を受給している人が一定要件を満たす場合に、「年金に上乗せして受け取れる」2種類のお金について解説していきます。
2-1申請しないともらえない《公的なお金 4》年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金は、一定基準を満たす低所得の年金生活者を対象とする給付金です。
老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金それぞれに給付金が設けられています。今回はそのうち「老齢年金生活者支援給付金」に絞って解説します。
2-1-1老齢年金生活者支援給付金【誰がもらえる?】支給要件
老齢年金生活者支援給付金の支給要件
出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」について
65歳以上の老齢基礎年金の受給者
同一世帯の全員が市町村民税非課税
前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は88万7700円以下(※2)である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
2-1-2老齢年金生活者支援給付金【いくらもらえる?】給付基準額
老齢年金生活者支援給付金の給付基準額
老齢年金生活者支援給付金の給付基準額(2025年度)は月額5450円です。
上記はあくまで基準額であり、実際の支給額は月額5450円を基準に保険料納付済期間により計算され、下記①と②の合計額となります。
①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5450円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1151円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月
例)国民年金保険料を全期間(40年間)納付した場合、2025年度は「月額5450円=年額6万5400円」の給付金が支給されます(昭和16年4月1日生まれまでの方は計算が異なります)。
2-2申請しないともらえない《公的なお金 5》加給年金
「加給年金」は、老齢厚生年金を受給中の人が年下の配偶者や子どもを扶養する場合に年金に上乗せして受け取ることができる年金です。「年金の扶養手当(家族手当)」と例えられる制度で、一定要件を満たす場合に支給対象となります。
2-2-1加給年金【誰がもらえる?】支給要件
厚生年金加入期間が20年(※)以上ある人:65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)
65歳到達後(もしくは定額部分支給開始年齢に到達した後)に被保険者期間が20年(※)以上となった人:在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)
(※)または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年
それぞれ、上記で示した時点で、「65歳未満の配偶者」または「18歳到達年度の末日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子」がいる場合に年金に上乗せして支給されます。
ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上あるもの)、退職共済年金(組合員期間が20年以上あるもの)を受給する権利がある場合、または障害厚生年金、障害基礎年金、障害共済年金などを受給している場合、配偶者加給年金は支給されません。
2-2-2加給年金【給付額】
加給年金の加給年金額
2025年度「加給年金」の年金額(年額)は以下のとおりです。
配偶者:23万9300円
1人目・2人目の子:各23万9300円
3人目以降の子:各7万9800円
また、老齢厚生年金を受給している人の生年月日によって、配偶者の加給年金額に3万5400円~17万6600円の特別加算額が支給されます。
なお、加給年金は対象となる配偶者が65歳になると支給は終わります。ただしその配偶者が老齢基礎年金を受け取る場合、一定の要件を満たせば老齢基礎年金に「振替加算」されます。
3申請忘れの通知なども届かないので注意が必要
今回は、シニアを対象とした給付金や制度についてご紹介していきました。
物価高騰が続くなか、日々の生活を送ることが難しい世帯も多く、政府も支援策を講じています。
しかし、その支援策は申請しないと対象とならないこともあります。申請忘れの通知なども届かないため、自分が対象かどうかは自分で調べるしか方法がないといえます。
まずは制度の細かい部分は地域によって異なるため、自治体のホームページや窓口での最新情報を確認することをおすすめします。
4参考資料
