

仕事を辞める時の言い方完全ガイド!円満退職を実現する伝え方と例文集
「仕事を辞めたいけれど、上司にどう切り出せばいいかわからない……」
「円満に退職したいけど、どんな理由を伝えれば角が立たないんだろう?」
退職を決意したものの、伝え方で悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
この記事を読めば、退職の意思をスムーズに伝え、円満退職を実現するための具体的な方法がわかります。
以下の内容についてご紹介します。
- 退職を切り出すタイミングや伝え方の基本ステップ
- 転職・体調不良・家庭の事情など状況別の言い方と例文
- 退職を切り出す勇気が出ない時の具体的な対処法
円満退職は、次のキャリアへ気持ちよく進むための重要なステップです。
転職を考えている方は、転職エージェントに相談して、退職交渉のアドバイスをもらうのも一つの有効な手段です。
1退職の切り出し方と伝え方の基本5ステップ
円満に退職するためには、感情的に伝えるのではなく、計画的に手順を踏むことが重要です。タイミングの選定から退職届の提出まで、基本的な5つのステップを理解し、スムーズな退職プロセスを実現しましょう。
1-1【ステップ1】退職を切り出すタイミングと時間帯の選び方
退職の意思を伝えるタイミングは、円満退職できるかどうかを左右する重要な要素です。法律上は退職希望日の2週間前に申し出れば退職可能ですが、業務の引き継ぎや後任者の選定などを考慮すると、会社の就業規則に従うのが最も安全です。
一般的には「退職希望日の1カ月~3カ月前」に伝えるのが社会人としてのマナーとされています。これにより、会社側も余裕を持って人員配置や採用活動を進めることができ、職場への負担を最小限に抑えられます。
また、退職を切り出す時期として、会社の繁忙期や大規模なプロジェクトの進行中は避けるべきです。上司が多忙で話を取り合ってもらえなかったり、周囲に余計な負担をかけてしまったりする可能性があります。会社の状況を配慮する姿勢を見せることが、円満な退職に繋がります。
1日の中では、始業直後や終業間際などの慌ただしい時間帯は避け、上司が比較的落ち着いて話を聞ける時間帯を選びましょう。事前に「ご相談したいことがあるのですが」と伝え、相手の都合の良い時間を確認するのが丁寧な進め方です。
1-2【ステップ2】上司へのアポイントの取り方(メール例文付き)
退職の意思は、立ち話などで済ませるのではなく、必ず直属の上司に個別の時間を設けてもらうのがマナーです。周囲に他の社員がいる場所で切り出すと、話が漏れてしまったり、上司が対応に困ったりする可能性があるため避けましょう。
アポイントを取る際は、上司のスケジュールを確認し、比較的落ち着いている時間帯に「少しご相談したいことがあるのですが、15分から30分ほどお時間をいただくことは可能でしょうか」と直接声をかけるのが基本です。
上司が忙しく直接声をかけるのが難しい場合や、リモートワークが中心の場合は、メールやチャットでアポイントを依頼します。その際、件名や本文で「退職」という言葉を使うのは避け、「ご相談」や「お話したいこと」といった表現にとどめるのが一般的です。
【メールでアポイントを取る際の例文】
件名:【〇〇(自分の氏名)】ご相談のお時間について
〇〇部長(役職)
お疲れ様です。
〇〇部の〇〇です。
個人的なご相談があり、少しお時間をいただきたくご連絡いたしました。
つきましては、以下の日程でご都合いかがでしょうか。
・〇月〇日(月) 14:00~16:00
・〇月〇日(火) 11:00~13:00
・〇月〇日(水) 終日可能
上記以外でも、〇〇部長のご都合の良い日時をいくつかご教示いただけますと幸いです。
お忙しいところ恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。
署名
1-3【ステップ3】退職理由の伝え方の基本ルール
退職理由を伝える際は、円満な退職を実現するためにいくつかの基本ルールを押さえることが重要です。たとえ会社に不満があったとしても、それをストレートに伝えるのは避けましょう。
まず、給与や人間関係、待遇への不満といったネガティブな本音は、ポジティブな理由に変換して伝えるのが鉄則です。「給料が低い」ではなく「自身の市場価値を高めたい」、「人間関係が悪い」ではなく「チームワークを重視する環境で働きたい」といった具合です。
次に、会社のせいにするのではなく、あくまで「自分自身のキャリアプランや目標のため」という自責の形で語ることが大切です。「会社が〇〇してくれない」という他責の姿勢は、相手に不快感を与えかねません。
そして、理由を伝える前には、「これまでお世話になりました」という感謝の気持ちを必ず伝えましょう。感謝の言葉を添えることで、その後の話し合いが円滑に進みやすくなります。
最後に、「退職しようか悩んでいる」といった曖昧な表現は避け、「退職を決意いたしました」と意思が固いことを明確に伝えることが重要です。これにより、引き止めの余地がないことを示し、交渉が長引くのを防ぎます。
1-4【ステップ4】引き止められない退職理由の作り方
退職を伝えた際に最も懸念されるのが、上司からの強い引き止めです。引き止めを回避し、スムーズに退職交渉を進めるためには、「会社側が介入・改善できない個人的な理由」を伝えることが極めて重要です。
会社の制度や待遇、人間関係への不満を理由にしてしまうと、「改善するから残ってほしい」という交渉の余地を与えてしまいます。そうではなく、会社側が「それなら仕方ない」と納得せざるを得ない理由を準備しましょう。
引き止められにくい理由は、主に以下の3つに分類できます。
個人のキャリアプラン
「〇〇という専門性を高めたいが、現職ではその機会がない」「将来的に独立を目指しており、そのために必要な経験を積みたい」など、個人の成長や目標に関する理由は、会社が引き止めにくい代表例です
ライフイベントや家庭の事情
結婚や配偶者の転勤、親の介護、家業の継承といった理由は、個人のプライベートな領域であり、会社が介入することは困難です。物理的に勤務が続けられない状況を伝えるのも有効です
健康上の理由
体調不良や、医師から休養を勧められたという理由も、本人の健康に関わることなので、会社は強く引き止めることができません。ただし、診断書の提出を求められる可能性も念頭に置いておきましょう
1-5【ステップ5】退職届の提出タイミングと書き方
上司に退職の意思を伝え、退職日が正式に決定したら、会社の規定に従って「退職届」を提出します。ここで、「退職願」との違いを理解しておくことが重要です。
- 退職願:会社に「退職させてください」と願い出る書類。会社が承諾するまでは撤回が可能です
- 退職届:会社に「退職します」と届け出る書類。受理されると、原則として撤回はできません
一般的には、口頭で退職の合意を得た後に、最終的な意思表示として退職届を提出します。提出タイミングや提出先(直属の上司か人事部かなど)、フォーマットの有無は就業規則で定められていることが多いので、事前に確認しておきましょう。
退職届は、特に指定がなければ白い便箋に黒のボールペンで手書きするのが基本です。
書き方の要点は以下の通りです。
2【状況別】退職の言い方・例文10選
退職理由は人それぞれ異なります。転職、体調不良、家庭の事情など、あなたの状況に合わせた伝え方をすることで、上司の理解を得やすくなり、円満退職に繋がります。ここでは、よくある10の状況別に、そのまま使える言い方と例文をご紹介します。
2-1【例文1】転職先が決まっている場合の伝え方
転職先がすでに決まっている場合は、退職の意思が固いことを明確に伝えることが重要です。引き止めの余地を与えないよう、前向きな理由と感謝の気持ちをセットで伝えましょう。
- 退職の意思が明確であることを示す
- 現職への不満ではなく、将来のキャリアプランを理由にする
- 転職先の企業名を具体的に伝える必要はない。聞かれた場合も「〇〇業界の企業です」といった程度にとどめるのが無難です
【伝え方の例文】
「本日はお時間をいただきありがとうございます。突然のご報告となり大変恐縮ですが、このたび一身上の都合により退職したく、ご相談させていただきました。
現職で〇〇の業務に携わるなかで、より専門性を高めたいという思いが強くなり、新たな環境で挑戦することを決意いたしました。
これまで多くの経験を積ませていただき、〇〇部長には大変感謝しております。
退職希望日は〇月〇日を考えております。後任の方への引き継ぎは責任を持って行いますので、何卒よろしくお願い申し上げます」
2-2【例文2】体調不良を理由にする場合の伝え方
体調不良を理由に退職する場合は、事実を正直に、しかし簡潔に伝えることが大切です。プライベートな内容であるため、詳細な病名などを話す必要はありません。医師の診断を受けている場合は、その旨を伝えると説得力が増します。
- 業務への影響を考慮し、申し訳ないという気持ちを伝える
- 「治療に専念するため」という理由を明確にし、復帰の可能性を匂わせない
- 診断書の提出を求められる可能性も考慮しておく
【伝え方の例文】
「お忙しいところ申し訳ありません。実は、数カ月前から体調が優れず、医師からも治療に専念するよう勧められております。
このままでは業務に支障をきたしてしまう可能性があり、皆様にご迷惑をおかけすることはできないと判断し、大変心苦しいのですが、退職させていただきたく存じます。
つきましては、〇月〇日をもって退職させていただけますでしょうか。残り期間、引き継ぎはしっかりと行いますので、よろしくお願いいたします」
2-3【例文3】精神的に限界な場合の伝え方
精神的な理由で退職を決意した場合、正直に「限界です」と伝えるのは勇気がいるかもしれません。その場合は、直接的な表現を避け、「体調不良」や「健康上の理由」といった言葉に置き換えて伝えるのが円満退職のコツです。
- 「精神的に」という言葉は使わず、「体調が優れない」「健康上の理由」など、身体的な不調として伝える
- 原因が職場にある場合でも、会社や個人を非難するような言い方は避ける
- 「治療に専念したい」という前向きな姿勢で締めくくる
【伝え方の例文】
「突然のご相談で申し訳ありません。実は、体調が優れない日々が続いており、今後のことを考え、一度休養に専念したく、退職を決意いたしました。
このような形でご迷惑をおかけすることになり、大変心苦しいのですが、〇月末での退職をご検討いただけますでしょうか。
業務の引き継ぎにつきましては、責任を持って対応いたします」
2-4【例文4】パート・アルバイトの場合の伝え方
パートやアルバイトの場合でも、円満に退職するための基本的なマナーは正社員と変わりません。まずは直属の上司や店長に、直接退職の意思を伝えるのが基本です。法律上は2週間前の申し出で退職できますが、シフトの調整や後任の補充などを考慮し、就業規則に定められた期間(多くは1カ月前)に従うのが望ましいでしょう。
- シフトに穴をあけないよう、早めに伝える配慮が重要
- 理由は「学業に専念するため」「家庭の事情により」など、簡潔で問題ない
- これまでお世話になった感謝の気持ちを伝える
【伝え方の例文】
「〇〇店長、今お時間よろしいでしょうか。急な話で申し訳ないのですが、一身上の都合により、来月末で退職したく、ご相談させていただきました。
こちらでの仕事は大変勉強になり、皆様にはとても感謝しております。
最終出勤日まで、責任を持って業務にあたりますので、よろしくお願いいたします」
2-5【例文5】新卒1年目で辞める場合の伝え方
新卒1年目での退職は、伝え方に特に配慮が必要です。「せっかく育てたのに」と思われてしまう可能性もあるため、育成してもらったことへの感謝と、申し訳ないという気持ちを真摯に伝えることが大切です。
- 会社の批判や不満は絶対に避ける
- 「自分の適性を見つめ直した結果」など、あくまで自分自身の問題として語る
- 社会人としての経験が浅いことへのお詫びと、感謝の気持ちを丁寧に伝える
【伝え方の例文】
「お忙しいところ恐縮です。本日は、退職のご相談でお時間を頂戴しました。
入社以来、未熟な私に多くのご指導をいただき、心から感謝しております。
このような形でご報告することは大変心苦しいのですが、実際に業務に携わるなかで、自分の適性や将来について改めて考えた結果、別の道に進みたいという思いが強くなりました。
多大なご迷惑をおかけすることを重々承知のうえで、〇月末での退職をご検討いただけますでしょうか。何卒よろしくお願い申し上げます」
2-6【例文6】一身上の都合で辞める場合の伝え方
「一身上の都合」は、自己都合で退職する際に用いられる定型句です。退職届にはこの言葉を記載すれば問題ありませんが、上司に口頭で伝える際は、もう少し具体的な理由を添えるのが円満退職の鍵です。
- 「一身上の都合」だけでは、不満があるのではないかと勘繰られる可能性がある
- キャリアアップや家庭の事情など、差し支えない範囲で具体的な理由を補足する
- どうしても詳細を話したくない場合は、「個人的な事情で、詳細をお伝えできず申し訳ありません」と丁寧に伝える
【伝え方の例文】
「本日はお時間をいただきありがとうございます。急なご報告となり大変恐縮ですが、一身上の都合により、〇月末で退職したく存じます。
(差し支えなければ理由を補足:例)実は、以前から興味のあった〇〇の分野に挑戦したいという思いがあり、このたび退職を決意いたしました。
これまで大変お世話になり、感謝の気持ちでいっぱいです。最終出勤日まで、業務の引き継ぎに万全を期しますので、何卒よろしくお願い申し上げます」
2-7【例文7】家庭の事情を理由にする場合の伝え方
結婚、配偶者の転勤、親の介護、家業の継承など、家庭の事情は会社側が介入しにくく、引き止められにくい強力な退職理由です。事実を正直に伝えれば、ほとんどの場合で理解を得られるでしょう。
- プライベートな内容なので、詳細に話しすぎる必要はない
- 「家族と話し合った結果」「物理的に通勤が困難になる」など、覆しがたい事実であることを伝える
- 業務の継続が困難であることを明確にする
【伝え方の例文(親の介護の場合)】
「お忙しい中、申し訳ありません。実は、親の介護が必要な状況となり、実家に戻ることを家族と話し合って決めました。
現在の勤務地からでは介護との両立が難しく、大変心苦しいのですが、退職したく存じます。
〇月末での退職を希望しておりますが、ご相談させていただけますでしょうか。ご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます」
2-8【例文8】キャリアアップを理由にする場合の伝え方
キャリアアップは、退職理由として最もポジティブで、上司にも応援してもらいやすい理由の一つです。現職での経験を土台に、次のステップに進みたいという意欲を伝えることがポイントです。
- 現職への不満ではなく、あくまで自身の成長意欲が理由であることを強調する
- 「〇〇のスキルを活かして、△△に挑戦したい」など、具体的なキャリアプランを語れるようにしておく
- 現職で得られた経験やスキルへの感謝を伝える
伝え方の例文
「本日はお時間をいただき、ありがとうございます。突然のご報告となり恐縮ですが、退職を決意いたしましたので、ご報告に伺いました。
これまで〇〇の業務を通じて多くのことを学ばせていただき、心から感謝しております。その経験を活かし、今後はより専門性の高い△△の分野で自身のキャリアを追求していきたいという思いが強くなりました。
つきましては、〇月末日をもって退職したく存じます。最終日まで職務を全うし、引き継ぎもしっかりと行いますので、何卒よろしくお願い申し上げます」
2-9【例文9】勤務条件が合わない場合の伝え方
残業時間や休日、勤務地など、勤務条件が理由で退職する場合、伝え方には工夫が必要です。「残業が多いから辞めます」とストレートに伝えると、不満と捉えられかねません。
- 「働き方を見直したい」「ライフワークバランスを整えたい」など、個人的な価値観やライフプランに結びつけて伝える
- 家庭の事情や健康上の理由と組み合わせると、より説得力が増す
- 会社の制度を直接的に批判するような言い方は避ける
【伝え方の例文】
「お忙しいところ申し訳ありません。退職についてご相談があり、お時間をいただきました。
実は、今後のライフプランを考えるなかで、自身の働き方を見直したいという思いが強くなりました。大変恐縮ながら、現在の勤務を継続することが難しいと判断し、退職を決意いたしました。
〇月末での退職を希望しております。皆様には大変お世話になり、感謝しております。ご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解いただけますと幸いです」
2-10【例文10】人間関係を理由にする場合の伝え方
人間関係は退職理由として非常に多いですが、最も正直に伝えにくい理由でもあります。特定の個人や部署を非難するような伝え方は、トラブルの原因となるため絶対に避けましょう。
- 人間関係には一切触れず、キャリアアップや他の個人的な理由に完全に置き換えるのが最も安全
- どうしても伝える場合は、「チームで協力して目標を達成する働き方に挑戦したい」など、抽象的かつポジティブな表現に変換する
- 「一身上の都合」として、詳細は語らないという選択肢も有効
【伝え方の例文(キャリアアップに置き換える場合)】
「本日はお時間をいただきありがとうございます。突然のご報告で恐縮ですが、退職を決意いたしました。
現職で得た経験を活かし、新たな環境で〇〇という分野に挑戦したいという思いが強くなりました。
〇〇部長をはじめ、皆様には大変お世話になり、感謝しかございません。〇月末での退職を希望しておりますが、引き継ぎなどに関しましては、誠心誠意対応いたしますので、よろしくお願いいたします」
3退職を切り出す勇気が出ない時の対処法3選
「退職したい」という気持ちは固まっているのに、上司に切り出す勇気が出ずに悩んでしまうことは少なくありません。「迷惑をかけるのでは」「怒られたらどうしよう」といった不安が、行動をためらわせます。
ここでは、そんな不安を乗り越えるための具体的な対処法を5つご紹介します。
3-1【対処法1】退職を切り出す前の心の準備と考え方
退職を切り出す勇気が出ない最大の原因は、「申し訳ない」「迷惑をかける」といった罪悪感です。
しかし、退職は労働者に認められた正当な権利であることをまず認識しましょう。あなたが辞めることで一時的に職場に負担がかかるかもしれませんが、会社は組織としてその穴を埋める仕組みを持っています。あなたが一人で責任を背負い込む必要はありません。
また、「なぜ退職したいのか」「退職して何を成し遂げたいのか」を自分の中で言語化し、整理しておくことも重要です。退職理由や今後のキャリアプランが明確であれば、自信を持って上司に伝えることができます。
退職は逃げではなく、より良い未来のための「前向きな選択」であると捉え直すことが、勇気を出すための第一歩です。
3-2【対処法2】緊張を和らげるための具体的な方法
上司に退職を切り出す場面を想像すると、誰でも緊張するものです。緊張を少しでも和らげるために、事前のシミュレーションが有効です。
何を、どの順番で話すかを紙に書き出してみましょう。
時間をもらうことへの感謝
退職を決意したという結論
角の立たない退職理由
希望退職日
引き継ぎをしっかり行う意思表示
このように話す内容を整理し、声に出して練習することで、本番でも落ち着いて話せるようになります。また、上司から想定される質問(「なぜ辞めるのか?」「次の会社は決まっているのか?」など)とその回答も準備しておくと、さらに心に余裕が生まれます。
面談の直前には、深呼吸をしてリラックスすることも効果的です。完璧に話そうと気負わず、「伝えるべきことを伝えられれば良い」と考えるようにしましょう。
3-3【対処法3】気まずさを軽減する心構え
退職を伝えた後、最終出勤日までの期間が気まずくなるのではないかと心配する人は多いです。しかし、プロフェッショナルな態度を貫くことで、気まずさは大幅に軽減できます。
重要なのは、「辞めるからもう関係ない」という態度を取らないことです。むしろ、これまで以上に真摯に業務に取り組み、後任者への引き継ぎを丁寧に行う姿勢を見せましょう。
引き継ぎ資料を分かりやすく作成したり、取引先への挨拶回りを積極的に行ったりすることで、周囲はあなたの責任感ある行動を評価し、気持ちよく送り出してくれるはずです。
また、同僚や後輩に退職の経緯や会社の不満などを話して回るのは避けましょう。あくまでも上司から正式な発表があるまでは、限られた人にのみ伝えるのがマナーです。最後まで感謝の気持ちと誠実な態度を忘れなければ、周囲との良好な関係を保ったまま退職日を迎えられます。
4退職をメールで伝える際の注意点と例文5選
退職の意思は直接対面で伝えるのが基本マナーですが、リモートワークで出社の機会がない、上司が多忙で時間が合わないなど、やむを得ない事情がある場合はメールで伝えることもあります。
ただし、メールだけで完結させるのではなく、あくまで「相談のためのアポイント依頼」や「最初のきっかけ」として活用するのが適切です。ここでは、状況別のメール例文と注意点を解説します。
4-1【メール例文1】上司へのアポイント依頼メール
退職の意思を伝えるための面談時間を設定してもらうためのメールです。件名で用件がわかるようにしつつ、本文では「退職」という直接的な言葉は避け、「ご相談」と表現するのがポイントです。
【件名:【〇〇(氏名)】ご相談のお時間について】
本文:
〇〇部長
お疲れ様です。
〇〇部の〇〇です。
今後のキャリアについてご相談したいことがあり、15分ほどお時間をいただくことは可能でしょうか。
つきましては、〇〇部長のご都合の良い日時をいくつかお教えいただけますと幸いです。
お忙しいところ恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。
署名
4-2【メール例文2】体調不良による退職相談メール
体調不良が原因で出社が難しく、やむを得ずメールで退職の相談を切り出す場合の例文です。まずは体調を気遣ってもらっていることへの感謝を述べ、診断結果などを簡潔に伝えます。
【件名:【〇〇(氏名)】今後の勤務に関するご相談】
本文:
〇〇部長
お疲れ様です。
〇〇部の〇〇です。
療養中はご配慮いただき、誠にありがとうございます。
先日、医師より診断を受け、誠に申し上げにくいのですが、現在の業務を継続することが困難な状況であると判断いたしました。
つきましては、今後の進退についてご相談させていただきたく、ご連絡いたしました。
メールでのご連絡となり大変恐縮ですが、一度お電話などでお話しさせていただくことは可能でしょうか。
ご多忙の折とは存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
署名
4-3【メール例文3】転職先が決まっている場合の報告メール
すでに転職先が決まっており、退職の意思が固いことを前提としたアポイント依頼メールです。「今後のキャリアについて」といった表現で、前向きな相談であることを示唆します。
【件名:【〇〇(氏名)】今後のキャリアに関するご相談】
本文:
〇〇部長
お疲れ様です。
〇〇部の〇〇です。
私自身の今後のキャリアについて、ご相談したいことがございます。
つきましては、近日中に15分ほどお時間をいただくことは可能でしょうか。
〇〇部長のご都合の良い日時をいくつかご教示いただけますと幸いです。
お忙しいところ恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。
署名
4-4【メール例文4】パート退職の相談メール
パート・アルバイトの方が、シフト責任者や店長に退職の相談をする際のメール例文です。直接話す機会が少ない場合などに活用できます。
【件名:【アルバイト 〇〇(氏名)】退職のご相談】
本文:
〇〇店長
お疲れ様です。
アルバイトの〇〇です。
急なご連絡で申し訳ありません。
一身上の都合により、来月末をもって退職させていただきたく、ご連絡いたしました。
本来であれば直接お伝えすべきところ、メールでのご連絡となり恐縮です。
改めてご挨拶に伺いますが、まずはご報告申し上げます。
最終勤務日まで、責任を持って勤務いたします。
何卒よろしくお願い申し上げます。
署名
4-5【メール例文5】退職届をメールで送る場合の例文
会社の規定や、やむを得ない事情で退職届をメールの添付ファイルとして提出する場合の例文です。事前に上司や人事部に、メールでの提出が可能か必ず確認しましょう。
【件名:退職届の提出【〇〇(氏名)】】
本文:
人事部 〇〇様
お疲れ様です。
〇〇部の〇〇です。
先日、〇〇部長にご承認いただきました退職日(〇月〇日付)に基づき、退職届を提出させていただきます。
添付ファイルにてお送りいたしますので、ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます。
署名
添付ファイル: 退職届_氏名.pdf
5心身の不調が理由で辞める時の伝え方5選
心身の不調は、誰にでも起こりうるデリケートな問題です。退職理由として伝える際は、相手に心配をかけすぎず、かつ自身の状況を理解してもらえるような配慮が必要です。ここでは、伝え方のポイントを5つのケースに分けて解説します。
5-1【伝え方1】ストレスによる体調不良を理由にする場合
ストレスが原因であっても、その根源が職場にあることを直接的に指摘するのは避けましょう。「ストレスで限界です」と伝えるのではなく、「体調が優れない日々が続いており、休養して心身の健康を取り戻したい」といった表現に変換するのが賢明です。
- 原因追及につながるような言葉は避ける
- 「治療に専念」「休養が必要」など、回復に向けた前向きな言葉を選ぶ
- あくまで自己管理の問題として、会社への不満と結びつけない
5-2【伝え方2】精神的に限界であることを伝える場合
精神的に限界だと感じている場合、その辛さを正直に伝えるのは難しいかもしれません。その際は、無理に詳細を語る必要はありません。「健康上の理由」という言葉を使い、休養が必要であることを伝えましょう。
- 「精神的に」という言葉は使わず、「健康上の理由」や「体調不良」に置き換える
- 「医師の勧めもあり」と付け加えることで、客観的な判断であることを示唆できる
- 「ご迷惑をおかけできない」と、職場への配慮を言葉にすることで、円満な退職につながりやすくなる
5-3【伝え方3】女性が体調不良を理由にする場合の配慮点
女性特有の健康問題など、詳細を話しにくい体調不良を理由にする場合もあるでしょう。その際も、プライバシーに踏み込む必要は全くありません。「女性特有の体調不良でして」とまで言う必要もなく、「健康上の理由」で十分です。
- 理由は「体調不良」または「健康上の理由」で統一し、それ以上の詮索をかわす
- もし詳しく聞かれた場合は、「プライベートなことですので、申し訳ありません」と丁寧に断る
- 今後のライフプランと関連付けて、「今後の生活を考え、一度体調を整えることに専念したい」と伝えると、相手も納得しやすい
5-4【伝え方4】診断書の提出が必要なケース
体調不良を理由に退職する場合、会社から診断書の提出を求められることがあります。法的に提出義務はありませんが、円満に手続きを進めるためには、求められたら提出するのが無難です。
- 傷病手当金など、公的な給付金を申請する場合
- 会社の就業規則に定めがある場合
- 休職を経て退職する場合
診断書は、あなたの退職理由が客観的な事実に基づくものであることを証明し、会社側の理解を得やすくする効果があります。事前に医師に相談し、診断書の発行が可能か確認しておくとスムーズです。
5-5【伝え方5】「甘え」と思われないための伝え方
特に精神的な理由で退職する場合、「甘えではないか」と思われないか不安に感じるかもしれません。そうした懸念を払拭するためには、客観的な事実と職場への配慮を伝えることが重要です。
- 医師の診断を伝える:「医師からも休養が必要と診断されておりまして」と伝えることで、個人的な感情ではなく、専門家の客観的な判断であることを示す
- 職場への配慮を示す:「このままでは業務に支障をきたし、皆様にご迷惑をおかけしてしまう」と伝えることで、無責任な離脱ではないことを強調する
- 感謝の気持ちを伝える:「これまで大変お世話になりました」と感謝を述べることで、良好な関係を保ちたいという意思を示す
自分の決断に自信を持ち、誠実な態度で伝えることが、「甘え」という印象を与えないための鍵となります。
6転職先が決まっている場合の退職の伝え方5選
すでに次のキャリアが決まっている場合、退職の意思は固く、交渉の余地はありません。その事実を前提に、いかに円満に、そしてスムーズに退職プロセスを進めるかが重要になります。ここでは、転職先が決まっている場合の伝え方のポイントを5つの視点から解説します。
6-1【伝え方1】転職先が決まっていることを伝えるタイミング
転職先が決まっていることは、上司に退職の意思を伝える最初の面談で、正直に話すのが基本です。これにより、あなたの退職の意思が固く、引き止めても無駄であることが明確に伝わります。
「退職を考えていまして……」と曖昧に切り出すと、「何か不満があるなら改善するから」と引き止めの交渉が始まってしまう可能性があります。
「この度、転職先が決まりましたので、退職したく存じます」と、結論から伝えることで、その後の話は「いつ退職するか」「どう引き継ぐか」という建設的な方向に進みやすくなります。
6-2【伝え方2】転職先の情報をどこまで伝えるべきか
上司や同僚から転職先について聞かれることはよくありますが、具体的な企業名を伝える義務は一切ありません。
もし伝えた場合、特に同業他社への転職であれば、思わぬトラブルに発展する可能性もゼロではありません。また、現職の人が転職先に連絡を取るような事態も避けるべきです。
聞かれた際の対応としては、以下のような答え方が無難です。
- 「〇〇業界の企業です」
- 「これまでの経験を活かせる、IT系の会社です」
- 「ご報告できる段階になりましたら、改めてお伝えします」
- 「申し訳ありませんが、お答えは控えさせてください」
親しい同僚であっても、正式な退職日までは具体的な社名を伏せておくのが賢明な判断です。
6-3【伝え方3】1カ月前に伝える場合の注意点
多くの会社の就業規則では「退職は1カ月前までに申し出ること」と定められており、このタイミングで伝えることはルール上問題ありません。しかし、1カ月という期間は、引き継ぎや後任者の選定には最短のスケジュールであることを認識しておく必要があります。
1カ月前に伝える場合は、退職交渉をスムーズに進めるため、自分の中で詳細な引き継ぎ計画を立てておくことが重要です。「後任の方が決まり次第、このマニュアルに沿って引き継ぎを進めます」と具体的なプランを提示することで、会社側も安心して退職を受け入れやすくなります。
また、有給休暇の消化も考慮に入れる必要があります。1カ月の期間内で引き継ぎと有給消化を両立できるよう、上司と誠実に相談する姿勢が求められます。
6-4【伝え方4】2~3カ月前に伝える場合のメリット
可能であれば、退職希望日の2~3カ月前に伝えると、より円満な退職が実現しやすくなります。
- 十分な引き継ぎ期間を確保できる:後任者が未定の場合でも、採用活動から引き継ぎまで余裕を持って行える。丁寧な引き継ぎは、あなたの評価を高め、良好な関係を維持することにつながる
- 有給休暇を消化しやすい:引き継ぎを早めに終え、残りの期間で計画的に有給休暇を消化することが可能
- 会社側の負担を軽減できる:人員配置や業務の再調整に十分な時間を与えられるため、会社への配慮を示せる
早めに伝えることで、あなた自身も精神的な余裕を持って最終出勤日までの業務に取り組むことができます。転職先への入社日まで期間がある場合は、早めに伝えることを検討しましょう。
6-5【伝え方5】転職先が決まっていることを伝えない選択肢
転職先が決まっていても、あえてその事実を伏せて退職を伝えるという選択肢もあります。これは、特に引き止めが強いと予想される場合や、同業他社への転職で角が立つのを避けたい場合に有効な戦略です。
「今後のキャリアを考え、一度立ち止まって自分の可能性を探したい」「〇〇の分野に挑戦したいと考えており、これから転職活動を始めます」といった形で伝えます。
- 「他社に取られた」という印象を和らげ、上司の感情的な反発を抑えられる可能性がある
- 転職先に関する質問を回避できる
- 退職の意思が固まっていないと誤解され、強い引き止めにあう可能性がある
- 正直に伝えていない罪悪感を感じる場合がある
この方法を選ぶ場合は、「退職の意思は固い」ことを繰り返し強調し、引き止めには応じない姿勢を明確に示すことが重要です。
7まとめ
仕事を辞める際の言い方は、円満退職を実現するための重要な鍵です。基本は、会社の繁忙期を避け、1~3カ月前には直属の上司に直接伝えることです。
退職理由は、給与や人間関係といったネガティブな本音は避け、「キャリアアップ」や「家庭の事情」など、会社側が引き止めにくい個人的かつポジティブな理由に変換して伝えましょう。その際、これまでお世話になった感謝の気持ちを伝えることも忘れてはいけません。
状況別の例文を参考に、自分の言葉で誠実に伝える準備をしておけば、上司の理解も得やすくなります。もし退職を切り出す勇気が出ない場合は、退職が労働者の正当な権利であることを再認識し、自分の未来のための前向きな一歩だと捉え直してみましょう。
この記事で紹介したステップと伝え方を実践し、気持ちよく次のキャリアへと進んでください。
8よくある質問
退職を切り出すのに最適な時間帯はいつですか?
上司が比較的落ち着いて話を聞ける時間帯が最適です。始業直後や終業間際、会議の前後などの慌ただしい時間は避けましょう。事前に「ご相談があります」とアポイントを取り、相手の都合の良い時間を確認するのが最も丁寧です。
退職理由で本当のことを言わなくても大丈夫ですか?
円満退職のための「建前」は許容範囲ですが、経歴詐称など悪質な嘘は避けるべきです。会社の不満をポジティブなキャリアプランに言い換えるのは問題ありませんが、後々トラブルにならないよう、事実とかけ離れた嘘はつかないようにしましょう。
退職を伝えた後に怒られた場合はどうすればいいですか?
まずは冷静に対応し、相手が感情的になっている理由を聞きましょう。多くの場合、突然の報告に対する驚きや、人員が減ることへの不安が原因です。こちらも感情的にならず、退職の意思が固いことと、引き継ぎは責任を持って行うことを誠実に伝え、相手の理解を求めましょう。
パートやアルバイトでも退職の1カ月前に伝える必要がありますか?
法律上は2週間前の申し出で退職可能ですが、シフトの調整や後任の募集などを考慮すると、1カ月前に伝えるのが望ましいです。職場の就業規則に規定があれば、それに従うのが最も円満な方法です。早めに伝えることで、職場への配慮を示すことができます。
退職を伝えた後、気まずい雰囲気をどう乗り切ればいいですか?
最後まで責任感を持って業務に取り組む姿勢が重要です。「辞めるから」と気を抜かず、むしろ普段以上に丁寧に仕事をし、後任者への引き継ぎを完璧に行いましょう。周囲への感謝の気持ちを忘れず、誠実な態度を貫くことで、気まずさは自然と解消され、良好な関係のまま退職日を迎えられます。

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