

試用期間で辞めるのは迷惑?退職理由と伝え方・即日退職の可否を徹底解説
「試用期間中に辞めたいけれど、会社に迷惑がかかるのではないか……」
「入社したばかりで気まずくて言い出せない」
このようなお悩みはありませんか?
試用期間は、企業と労働者がお互いの相性を見極めるための大切な期間です。もし「合わない」と感じたなら、退職も一つの選択肢です。
この記事を読めば、試用期間中の退職が必ずしも迷惑ではない理由や、円満に退職するための具体的な方法がわかります。
以下の内容についてご紹介します。
- 試用期間中の退職が迷惑ではない理由
- 試用期間で辞めたくなる主な原因
- 円満退職するための伝え方のポイント
- 即日退職の可否と法律上のルール
次のキャリアへスムーズに進むためにも、正しい知識を身につけましょう。もし、退職後の転職活動に不安がある場合は、転職エージェントに相談してみることをおすすめします。
1試用期間で辞めるのは迷惑?会社への影響と実態
結論として、試用期間中に退職することは、法的に認められた労働者の権利であり、過度に「迷惑だ」と心配する必要はありません。
企業側もある程度の早期離職はある程度想定しており、誠実な対応を心がければ、円満に退職することは十分に可能です。
1-1【実態1】試用期間中の退職は法律上問題なく、迷惑をかけすぎる心配は不要
試用期間中であっても、労働者には退職の自由が法律で保障されています。
民法第627条では、期間の定めのない雇用契約の場合、労働者は退職の意思を伝えてから2週間が経過すれば、会社の承諾がなくても雇用契約を終了できると定められています。
これは試用期間中の従業員にも適用されるため、法的な観点から見れば、退職は労働者の正当な権利です。もちろん、社会人としてのマナーは守るべきですが、「迷惑をかけるから辞められない」と法的な権利を放棄する必要はありません。
1-2【実態2】企業側も試用期間中の退職をある程度想定している
そもそも試用期間は、企業が従業員の適性を見極めるだけでなく、従業員自身が「この会社で働き続けられるか」を見極めるための期間でもあります。いわば、双方が相性を確認する「お試し期間」です。
企業側も、採用活動においてミスマッチが起こる可能性を理解しており、試用期間中に退職者が出ることはある程度想定しています。
むしろ、適性がないまま本採用となり、数年後に退職されるよりも、早期に判断してもらう方が、企業にとって教育コストやリソースの損失を最小限に抑えられるという側面もあります。そのため、退職を申し出たからといって、過度に負い目を感じる必要はありません。
1-3【実態3】早期退職は次の転職活動に影響する可能性がある
試用期間中の退職は、会社に対して過度な迷惑を心配する必要はありませんが、自身のキャリアには影響が及ぶ可能性があります。具体的には、次の転職活動において「短期離職」と見なされ、採用担当者に懸念を抱かれるリスクです。
採用担当者は、採用や教育にかかるコストを考慮するため、「またすぐに辞めてしまうのではないか」「忍耐力や適応力に問題があるのでは」といった不安を抱きがちです。
このデメリットを乗り越えるためには、なぜ短期間で退職に至ったのか、その理由を前向きかつ論理的に説明できる準備が不可欠です。この経験から何を学び、次にどう活かしたいのかを明確に語れるようにしておくことが、転職成功の鍵となります。
1-4【実態4】引き継ぎや退職手続きを誠実に行えば印象は悪化しにくい
試用期間中の退職が「迷惑」と捉えられるかどうかは、辞め方次第です。社会人としてのマナーを守り、誠実な対応を心がけることで、会社に与える負担を最小限に抑え、円満な退職を実現できます。
具体的には、以下の点を意識することが重要です。
早めに意思を伝える: 辞める決意が固まったら、できるだけ早く直属の上司に伝えましょう。これにより、会社は後任の採用や業務の再配分を計画する時間ができます
責任をもって引き継ぐ: 短い期間であっても、担当した業務があれば、後任者や他のメンバーに迷惑がかからないよう、責任をもって引き継ぎを行いましょう
無断欠勤は絶対にしない: 連絡もせずに会社に行かなくなる行為は、社会人としての信頼を完全に失い、損害賠償などのトラブルに発展するリスクもあります
退職は権利ですが、最後まで責任ある行動をとることが、不要なトラブルを避け、自身の印象を守ることにつながります。
入社してすぐ辞めたいときの対処法については、こちらの記事で紹介しています。
2試用期間で辞めたくなる理由5選
試用期間中に退職を考える理由は人それぞれですが、多くは入社前に抱いていたイメージと現実とのギャップに起因します。ここでは、多くの人が経験する代表的な5つの退職理由を解説します。自身の状況と照らし合わせ、気持ちを整理する参考にしてください。
2-1【辞めたくなる理由1】仕事内容や社風が入社前の想像と大きく異なった
最も多い退職理由の一つが、仕事内容や社風のミスマッチです。求人票や面接での説明から抱いたイメージと、実際の業務内容が大きく異なるケースは少なくありません。
例えば、「企画職として採用されたはずが、実際はデータ入力や雑務ばかり」「チームで協力する社風だと聞いていたが、個人主義で会話がほとんどない」といったギャップが挙げられます。
社風は、実際にその環境に身を置いてみないと分からない部分も多く、体育会系の雰囲気や過度に静かなオフィス環境などが自分に合わないと感じることもあります。こうした違和感は、日々の業務へのモチベーションを大きく低下させる原因となります。
2-2【辞めたくなる理由2】人間関係や職場の雰囲気に馴染めない
仕事内容以上に、職場の人間関係や雰囲気が退職の引き金になることは非常に多いです。特に試用期間中は、まだ社内に頼れる人が少なく、孤立感を抱きやすい時期でもあります。
具体的には、以下のような状況が挙げられます。
- 質問しにくい雰囲気で、業務を覚えるのに支障が出る
- 上司や先輩からの指導が厳しすぎる、またはパワハラに該当する言動がある
- 同僚とのコミュニケーションがうまく取れず、チームワークが機能していない
- 挨拶がなかったり、職場の空気が常に重かったりする
このような環境は精神的なストレスが大きく、心身の健康を損なう原因にもなりかねません。自分を守るために、早期に環境を変えるという判断も重要です。
2-3【辞めたくなる理由3】業務量や労働時間が想定を超えて精神的・体調的に限界
「残業はほとんどない」と聞いていたにもかかわらず、実際には長時間労働が常態化しているケースも、退職を決意する大きな理由です。特に、給与が支払われないサービス残業が横行しているような環境は、心身ともに大きな負担となります。
長時間労働は、プライベートの時間を奪うだけでなく、睡眠不足や慢性的な疲労を引き起こし、精神的なストレスを増大させます。
最初は「慣れれば大丈夫」と思っていても、結果的に体調を崩してしまっては元も子もありません。自身の健康を守るためにも、労働環境が劣悪な会社には早期に見切りをつけることが賢明な判断と言えるでしょう。
2-4【辞めたくなる理由4】給与や待遇が求人情報と異なる・生活が成り立たない
給与や休日、手当といった労働条件が、入社前に提示された内容と異なっている場合、会社への信頼が揺らぎ、退職を考える直接的な原因となります。
例えば、以下のようなケースが考えられます。
- 求人票に記載されていた手当が実際には支給されない
- 基本給が聞いていた金額よりも低い
- サービス残業や休日出勤が多く、時給換算すると最低賃金を下回る
生活に直結する金銭面での約束が守られないことは、働く上でのモチベーションを著しく低下させます。
このような契約違反とも言える状況では、会社に改善を求めても解決しない可能性が高く、試用期間中であっても退職するのは当然の判断と言えるでしょう。
2-5【辞めたくなる理由5】キャリアの方向性が自分の希望と合わないと気づいた
実際に業務を経験する中で、「この仕事は自分の目指すキャリアとは違う」と気づくことも、試用期間中に退職を考えるきっかけになります。
入社前は魅力的だと思っていた仕事でも、実際に携わってみると、将来の目標達成にはつながらないと感じることがあります。例えば、「専門スキルを身につけたいと思っていたが、実際は単純作業の繰り返しで成長が見込めない」といったケースです。
自分のキャリアプランと会社の方向性が合わないと感じた場合、そのまま働き続けることは時間の浪費につながりかねません。若いうちであればキャリアの軌道修正は比較的容易なため、自分の将来を真剣に考えたうえでの早期退職は、前向きな決断と捉えることができます。
3試用期間中に辞める際の伝え方5つのポイント
試用期間中に退職を決意した場合、その伝え方が円満退職できるかどうかを大きく左右します。気まずい雰囲気にならないよう、社会人としてのマナーを守り、誠実な姿勢で臨むことが重要です。ここでは、上司に退職を伝える際の5つのポイントを具体的に解説します。
3-1【伝え方のポイント1】退職の意思は直属の上司に直接・早めに伝える
退職の意思を最初に伝えるべき相手は、必ず直属の上司です。同僚や人事担当者、さらに上の役職者に先に話してしまうと、上司との信頼関係を損なうことになり、話がこじれる原因になります。
伝えるタイミングも重要です。退職を決意したら、会社の就業規則を確認しつつも、できるだけ早く伝えましょう。これにより、会社側は後任者の選定や業務の引き継ぎ準備に時間を充てることができます。
「ご相談したいことがあります」と事前にアポイントを取り、他の人に話を聞かれない会議室などで、直接口頭で伝えるのが基本的なマナーです。
3-2【伝え方のポイント2】退職理由は前向きかつ簡潔に説明する
退職理由を伝える際は、会社の不満や批判を並べるのは避けましょう。たとえそれが本音であったとしても、ネガティブな発言は円満な退職を妨げるだけです。
基本的には「一身上の都合により」という理由で十分です。もし上司から詳しく理由を尋ねられた場合は、個人的かつ前向きな理由を簡潔に伝える準備をしておくとスムーズです。
<伝え方の例>
「実際に業務に携わるなかで、以前から興味のあった〇〇の分野に挑戦したいという気持ちが強くなりました。自分のキャリアを考えた結果、新たな道に進む決意をいたしました」
このように、自分の将来を見据えた決断であることを伝えることで、相手も納得しやすくなります。
3-3【伝え方のポイント3】感謝の気持ちと謝罪の言葉を忘れずに添える
退職の意思を伝える際には、感謝と謝罪の言葉を添えることが、円満なコミュニケーションの鍵となります。
たとえ短い期間であったとしても、採用してくれたこと、指導してくれたことに対して「短い間でしたが、大変お世話になりました」といった感謝の気持ちを伝えましょう。
また、試用期間という早い段階で辞めることに対しては、「ご期待に沿えず申し訳ございません」「このような早い時期での退職となり、大変心苦しく思っております」など、誠実な謝罪の言葉を添えることで、相手の心証も大きく変わります。
退職は権利ですが、相手への配慮を忘れない姿勢が、最後まで良好な関係を保つために重要です。
3-4【伝え方のポイント4】退職日や引き継ぎについて具体的に相談する
退職の意思を伝えると同時に、退職希望日と業務の引き継ぎについても相談する姿勢を見せることが大切です。
一方的に「〇月〇日で辞めます」と告げるのではなく、「〇月末での退職を希望しておりますが、業務の引き継ぎなどを考慮し、ご相談させてください」といった形で、会社の都合にも配慮する姿勢を示しましょう。
たとえ試用期間中で担当業務が少なかったとしても、「残りの期間、責任をもって引き継ぎいたします」と伝えることで、最後まで誠実に対応する意思があることを示すことができます。
このような配慮が、会社側のスムーズな対応を引き出し、円満な退職へとつながります。
3-5【伝え方のポイント5】メールや電話ではなく対面で伝えるのが基本
退職という重要な意思表示は、メールや電話、チャットなどで済ませるのではなく、直接対面で伝えるのが社会人としての基本的なマナーです。
顔を合わせて話すことで、声のトーンや表情から誠意が伝わりやすく、誤解が生じるのを防ぐことができます。まずは上司に「少しお話したいことがあるのですが」と声をかけ、二人きりで話せる時間を設けてもらいましょう。
ただし、パワハラや体調不良などが原因でどうしても出社できない、対面で話すのが精神的に困難であるといった「やむを得ない事情」がある場合は、電話で伝えたうえで、退職届を郵送するなどの方法を取ることも考えられます。その場合でも、まずは電話で誠実に事情を説明することが大切です。
4試用期間中の即日退職は可能?法律上のルールと注意点
「もう一日も会社に行きたくない」という状況で、即日退職が可能かどうかは非常に気になる点です。
結論から言うと、即日退職は原則として難しいものの、特定の条件下では認められる場合があります。法律上のルールを正しく理解し、適切な手順を踏むことが重要です。
4-1【即日退職のルール1】原則として2週間前の退職届提出が必要
日本の法律(民法第627条)では、期間の定めのない雇用契約(正社員など)の場合、労働者は退職の意思表示をしてから2週間が経過すれば、会社の同意がなくても退職できると定められています。
これは試用期間中であっても適用されるため、原則として「今日辞めます」と伝えて即日退職することはできません。この2週間という期間は、会社が後任者の確保や業務の引き継ぎを行うために必要な期間とされています。まずはこの基本ルールを理解しておくことが大切です。
4-2【即日退職のルール2】14日以内の試用期間なら即日退職が認められる場合がある
労働基準法第21条には、「試用期間中の者を14日以内に解雇する場合、解雇予告が不要である」という規定があります。
これはあくまで会社側が従業員を解雇する場合のルールであり、従業員からの自己都合退職に直接適用されるものではありません。
とはいえ、この14日間は企業側にとっても特に見極めの色合いが濃い期間です。そのため、この期間内に労働者側から退職を申し出た場合、会社側も引き止めずに即日退職に合意してくれる可能性は比較的高くなります。法的な義務ではありませんが、交渉の余地はあると言えるでしょう。
4-3【即日退職のルール3】心身の不調という理由がある場合は相談次第で即日退職できる可能性
民法第628条では、「やむを得ない事由」がある場合には、当事者は直ちに契約の解除ができると定められています。この「やむを得ない事由」には、本人の深刻な心身の不調、家族の介護、あるいは会社側によるハラスメントなどが該当する可能性があります。
もし、心身の不調により出社することが困難な状況であれば、その旨を会社に伝えましょう。医師の診断書があれば、会社側も状況を理解しやすく、即日退職に合意してくれる可能性が高まります。自分の健康を最優先に考え、無理をしないことが重要です。
4-4【即日退職のルール4】会社との合意があれば即日退職も可能
法律の原則とは別に、会社と従業員の双方が合意すれば、即日での退職は可能です。2週間という期間は、あくまで法律上の原則であり、当事者間の合意がそれを上回ります。
特に試用期間中であれば、まだ重要な業務を任されていなかったり、引き継ぎ事項がほとんどなかったりする場合も多いでしょう。そのような状況であれば、会社側も「無理に引き止めるよりは」と、即日退職に合意してくれる可能性があります。
まずは直属の上司に退職したい旨と、できれば即日退職したい理由を誠実に相談してみることが、円満な解決への第一歩です。
4-5【即日退職のルール5】即日退職でも退職届の提出は必須
たとえ会社との合意によって即日退職する場合であっても、退職の意思を正式な書面として残すために、退職届の提出は必須です。
口頭での合意だけでは、後になって「退職を聞いていない」「無断欠勤だ」といったトラブルに発展するリスクがゼロではありません。退職届を提出することで、「〇月〇日付で退職した」という明確な証拠を残すことができます。
もし出社できない状況であれば、上司にその旨を伝えたうえで、郵送で提出しましょう。その際、送付した記録が残る「内容証明郵便」を利用すると、より確実です。
5試用期間3カ月で辞める場合の手順と気まずさを減らす方法
試用期間として設定されることが多い「3カ月」という節目で退職を決意した場合、どのように行動すれば気まずさを最小限に抑え、円満に手続きを進められるのでしょうか。ここでは、具体的な5つのステップに沿って、スマートな退職手順を解説します。
5-1【手順1】退職の意思を固めたら速やかに上司にアポイントを取る
退職を決意したら、まず最初に行うべきは直属の上司への報告です。タイミングを先延ばしにすると、会社側の人員計画に影響を与え、結果的に迷惑をかけてしまうことになります。
「ご相談したいことがありますので、少々お時間をいただけますでしょうか」と丁寧に声をかけ、他の社員がいない会議室などで話す時間をもらいましょう。勤務時間中に突然切り出すのではなく、相手の都合を伺う配慮が、円満な話し合いの第一歩です。
5-2【手順2】退職理由を整理し、前向きな表現で伝える準備をする
上司との面談では、必ず退職理由を尋ねられます。このとき、会社の不満や人間関係の愚痴を並べるのは避けましょう。円満な退職から遠ざかるだけでなく、自身の印象も悪くしてしまいます。
たとえネガティブな理由が本音であっても、「自分のキャリアプランを考えた結果」や「他に挑戦したい分野が見つかった」など、前向きな表現に変換して伝える準備をしておくことが重要です。
正直に話すことと、相手を不快にさせることは違います。自分の将来のためのポジティブな決断であることを強調することで、上司も納得しやすくなります。
5-3【手順3】退職日と引き継ぎ内容について上司と具体的に相談する
退職の意思を伝えたら、具体的な退職日と業務の引き継ぎについて上司と相談します。法律上は2週間前の通知で退職できますが、会社の就業規則に「1カ月前」などの定めがある場合は、可能な限りそれに協力する姿勢を見せることが円満退職のコツです。
「〇月〇日での退職を希望しますが、引き継ぎなどを考慮してご相談させてください」と、一方的な決定ではなく相談という形で話を進めましょう。3カ月間の業務内容を整理し、後任者が困らないように資料を作成するなど、責任ある態度を示すことが信頼を損なわないために重要です。
5-4【手順4】退職届を提出し、必要な手続きを進める
上司との話し合いで退職日などが合意できたら、正式な書類として退職届を提出します。会社によっては指定のフォーマットがある場合もあるため、確認しましょう。特に指定がなければ、一般的な書式で作成して問題ありません。
退職届を提出した後は、人事担当者の指示に従い、社会保険の手続きや貸与物の返却など、必要な手続きを進めます。健康保険証の返却や、PC、社員証などの貸与品をリストアップし、最終出社日にすべて返却できるよう準備しておきましょう。
5-5【手順5】最終出社日まで誠実に業務を遂行し、感謝の挨拶をする
退職が決まったからといって、気を抜いてはいけません。最終出社日まで、与えられた業務を誠実に遂行することが社会人としての責任です。特に、業務の引き継ぎは丁寧に行い、後任者やチームに迷惑がかからないよう最大限配慮しましょう。
最終日には、お世話になった上司や同僚に直接挨拶回りをするのがマナーです。「短い間でしたが、大変お世話になりました」と、感謝の気持ちを伝えることで、良好な関係のまま職場を去ることができます。「立つ鳥跡を濁さず」を心がけることが、気まずさを減らし、自分自身の次のステップにもつながります。
6試用期間で辞めると転職活動は不利になる?影響と対策
試用期間での退職は、次の転職活動にどのような影響を与えるのでしょうか。多くの人が「不利になるのでは」と不安に感じますが、必ずしもそうとは限りません。ここでは、短期離職が転職活動に与える影響と、その影響を最小限に抑えるための対策について解説します。
6-1【転職への影響1】短期離職は履歴書・職務経歴書に記載する必要がある
たとえ試用期間中であっても、一度雇用契約を結んだ以上、その経歴は履歴書や職務経歴書に正確に記載する義務があります。短期間だからといって記載しないと、後々経歴詐称とみなされ、内定取り消しなどの重大なトラブルにつながる可能性があります。
雇用保険の加入履歴などから過去の職歴は判明するため、隠し通すことはできません。正直に記載したうえで、なぜ短期離職に至ったのかをきちんと説明できるように準備しておくことが重要です。
6-2【転職への影響2】面接で退職理由を必ず聞かれるため説明の準備が必須
短期離職の経歴があれば、面接でその理由を尋ねられることはほぼ確実です。採用担当者は、「採用してもまたすぐに辞めてしまうのではないか」という懸念を払拭したいと考えています。
ここで曖昧な回答をしたり、前職の不満ばかりを述べたりすると、ネガティブな印象を与えてしまいます。「なぜ辞めたのか」「その経験から何を学んだのか」「次はどうしたいのか」という3点をセットで、論理的かつ前向きに説明できるよう、事前に回答を準備しておくことが不可欠です。
6-3【転職への影響3】前向きな退職理由と反省点を伝えれば不利にならないケースも多い
短期離職は必ずしも不利になるとは限りません。伝え方次第では、むしろ自己分析能力や決断力の高さをアピールする機会にもなり得ます。
重要なのは、他責にせず、自身の問題として捉え、反省点と改善意欲を示すことです。
例えば、「前職では、入社前の企業研究が不十分であったと反省しております。その経験から、自身の適性やキャリアの方向性を深く見つめ直し、〇〇という軸で企業選びをすることが重要だと学びました。御社を志望したのは…」などのように、失敗から学んだことを具体的に述べ、次の仕事への意欲につなげることで、採用担当者に納得感と安心感を与えることができます。
6-4【転職への影響4】試用期間中の退職が複数回続くと信用を失いやすい
試用期間中の退職が一度であれば、理由をきちんと説明することで理解を得られる可能性は高いです。しかし、この経験が複数回続くと、採用担当者からの信用を得ることは極めて難しくなります。
「計画性がない」「環境適応能力が低い」「困難から逃げる癖がある」といったネガティブなレッテルを貼られ、書類選考の段階で不採用となるケースが増えるでしょう。
短期離職を繰り返さないためにも、一度目の退職経験を深く反省し、次の職場選びは慎重に行う必要があります。安易な転職は、自身のキャリアをさらに厳しい状況に追い込むリスクがあることを肝に銘じておきましょう。
6-5【転職への影響5】次の職場選びでは企業研究と自己分析を徹底する
試用期間での退職という経験を繰り返さないためには、次の転職活動において、徹底した自己分析と企業研究が不可欠です。
まずは、「なぜ合わなかったのか」を深く掘り下げましょう。仕事内容、人間関係、労働条件、社風など、何が自分にとって譲れない条件で、何が許容できないのかを明確にします。これが、次のミスマッチを防ぐための最も重要な自己分析です。
その上で、応募する企業については、公式情報だけでなく、口コミサイトやSNSなども活用して、リアルな情報を多角的に収集しましょう。面接の場では、自分からも積極的に質問し、職場の雰囲気や働き方について具体的に確認することが、入社後のギャップを減らす鍵となります。
7試用期間で辞める際の退職届の書き方と提出タイミング
退職の意思を固め、上司の了承を得たら、正式な手続きとして退職届を提出します。書面の提出は、退職の意思を明確にし、後のトラブルを防ぐために非常に重要です。ここでは、退職届の基本的な書き方と、提出する適切なタイミングについて解説します。
7-1【退職届の書き方1】退職届と退職願の違いを理解する
まず、「退職届」と「退職願」の違いを理解しておきましょう。
退職願: 「退職させてください」と会社にお願いする書類。会社が承諾するまでは撤回できる可能性があります
退職届: 「退職します」という確定的な意思を通知する書類。原則として提出後の撤回はできません
すでに上司と話し合い、退職が合意に至っている場合は、確定的な意思表示である「退職届」を提出するのが一般的です。
7-2【退職届の書き方2】退職届には退職日・提出日・氏名を明記する
退職届には、いくつかの必須記載項目があります。書き漏れがないように注意しましょう。
- 表題: 「退職届」と中央に記載します
- 本文: 冒頭に「私儀(わたくしぎ)」と書き、退職理由と退職日を記載します
- 提出日: 実際に退職届を提出する年月日を記載します
- 所属部署と氏名: 自分の所属部署と氏名をフルネームで記載し、捺印します
- 宛名: 会社の最高責任者(通常は代表取締役社長)の役職と氏名を記載します。自分の名前より上に配置するのがマナーです
7-3【退職届の書き方3】退職理由は「一身上の都合により」と簡潔に記載
自己都合で退職する場合、退職届に詳細な理由を書く必要はありません。「一身上の都合により」と記載するのが一般的です。
<本文の記載例>
「私儀、(改行)この度、一身上の都合により、来たる令和〇年〇月〇日をもちまして、退職いたします」
会社の不満や個人的な事情などを長々と書くのはマナー違反です。退職理由は上司との面談で口頭で伝えるものであり、退職届はあくまで事務的な手続きのための書類と割り切り、簡潔に記載しましょう。
7-4【退職届の書き方4】手書きまたはパソコン作成のどちらでも可
退職届の作成方法については、手書きでもパソコンで作成しても、会社の慣習や就業規則で指定がある場合を除き、どちらの方法を選んでも問題ありません。
手書きの場合: 白無地の便箋に黒のボールペンまたは万年筆で丁寧に書きます。修正液の使用は避け、書き間違えた場合は新しい用紙に書き直しましょう
パソコン作成の場合: A4サイズの白い用紙に印刷します。氏名欄は、自筆で署名し捺印するとより丁寧な印象になります
読みやすく、丁寧な書類を作成することを心がけましょう。
7-5【退職届の書き方5】提出タイミングは上司との面談後が基本
退職届を提出する最適なタイミングは、直属の上司に退職の意思を伝え、退職日について合意した後です。
いきなり退職届を突きつけるのは、相手に対して失礼な印象を与え、円満な退職を妨げる原因になります。まずは口頭で相談し、話し合いがまとまった後に、正式な手続きとして書面を提出するという流れがスムーズです。
上司から「人事部に直接提出して」などと指示があった場合は、その指示に従いましょう。基本的には、最初に相談した直属の上司に手渡しするのが一般的です。
8まとめ
試用期間中の退職は、決して特別なことではありません。法律で認められた労働者の権利であり、企業側もある程度のミスマッチは想定しています。過度に「迷惑がかかる」と心配するよりも、社会人としてのマナーを守り、誠実な手続きを踏むことが重要です。
退職を決意した場合は、直属の上司に早めに直接伝え、前向きな理由を説明しましょう。感謝と謝罪の言葉を添え、引き継ぎに協力する姿勢を見せることで、気まずさを減らし円満な退職につながります。
短期離職の経歴は転職活動で不利になる可能性もありますが、その経験から何を学び、次にどう活かしたいのかを明確に語れれば、十分に乗り越えることができます。
この記事で解説したポイントを参考に、後悔のない決断をし、新たなキャリアへの一歩を踏み出してください。
9よくある質問
試用期間中に辞めると会社に損害賠償を請求されることはありますか?
通常の退職手続きを踏めば、損害賠償を請求されることはまずありません。ただし、無断欠勤を続けて業務に実害を与えたり、会社の機密情報を持ち出したりするなど、悪質なケースでは請求される可能性があります。誠実に対応すれば心配は不要です。
試用期間3日で退職することは可能ですか?
はい、可能です。ただし、法律上の原則は「2週間前の申し出」が必要です。会社の合意が得られれば即日退職もできますし、体調不良など「やむを得ない事由」があれば即時契約解除も可能です。まずは直属の上司に相談することが第一歩です。
試用期間中の退職でも失業保険は受給できますか?
受給は非常に難しいです。失業保険(雇用保険の基本手当)を受給するには、原則として離職前の2年間に通算12カ月以上の被保険者期間が必要です。転職前の実績がなく、試用期間のみの勤務ではこの条件を満たせないため、基本的には受給対象外となります。
試用期間中に辞める場合、退職届は必要ですか?
はい、必要です。たとえ試用期間中であっても、退職の意思を明確な書面として残し、後の「言った・言わない」といったトラブルを防ぐために必ず提出しましょう。会社に指定のフォーマットがなければ、自分で作成して問題ありません。
試用期間で辞めた場合、次の転職先にはどう説明すればよいですか?
前職の不満や悪口を言うのは避け、「実際に働いてみて、自分のキャリアプランとの違いに気づいた」など、前向きな理由で説明することが重要です。その経験から何を学び、次にどう活かしたいかをセットで伝えることで、採用担当者に好印象を与えられます。











