

昇給なし・辞めるべき会社の特徴7選!退職前に確認すべきポイントと転職成功のコツ
「何年も働いているのに、一向に給料が上がらない……」
「昇給がないこの会社に、このまま居続けてもいいのだろうか?」
このような悩みを抱えていませんか?
この記事を読めば、昇給がない会社を辞めるべきかどうかの判断基準が明確になり、あなたのキャリアにとって最善の選択をするための具体的な行動プランが見えてきます。
以下の内容についてご紹介します。
- 昇給なしで辞めるべき会社の見極め方
- 退職を決断する前に確認すべき重要ポイント
- 年収アップを実現する転職成功のコツ
現状に不満があるなら、まずは自身の市場価値を客観的に把握し、より良い条件の企業を探し始めることが重要です。
1昇給なしで辞めるべき会社の特徴7選
昇給がないという事実だけで会社を辞めるべきか判断するのは早計かもしれません。
しかし、昇給がないことに加え、いくつかの危険な兆候が見られる場合、それは将来性がない会社のサインであり、転職を真剣に検討すべきタイミングと言えるでしょう。
ここでは、昇給なしで辞めるべき会社に共通する7つの特徴を解説します。複数当てはまる場合は、自身のキャリアを守るためにも、具体的な行動を起こすことを推奨します。
1-1【辞めるべき会社の特徴1】昇給制度が存在しない、または説明がない
長く勤務しても給料が上がらない場合、そもそも会社に昇給制度が存在しない可能性があります。企業に昇給制度を設ける法的義務はないため、制度がなくても違法ではありません。しかし、これは従業員の長期的な貢献や成長を評価する意思が低いことの表れと言えるでしょう。
また、「頑張れば昇給する」といった曖昧な説明のみで、具体的な評価基準や制度について明確な説明がない会社も注意が必要です。評価の透明性が欠けているため、上司の主観や気分で昇給が決まるなど、公正な評価が期待できない環境である可能性が高いです。
このような会社では、どれだけ成果を上げても報酬に結びつきにくく、モチベーションの維持が困難になります。まずは自社の就業規則を確認し、昇給に関する記載があるか、人事部や上司に制度について質問してみましょう。そこで納得のいく説明が得られない場合は、将来的な成長が見込めない会社と判断できます。
1-2【辞めるべき会社の特徴2】自分だけ昇給がない・評価基準が不透明
同僚や同期は昇給しているにもかかわらず、自分だけが昇給の対象外となっている場合、その背景には不透明な評価制度が隠れている可能性があります。多くの企業では、業務成果や勤務態度に基づいて昇給の可否が判断されますが、その基準が曖昧だと、正当な評価を受けられないリスクが高まります。
特に、評価が上司の主観に大きく依存する環境では、成果とは無関係に上司との相性などが昇給に影響してしまうことも少なくありません。このような状況では、いくら努力をしても報酬に結びつかず、働く意欲を失ってしまいます。
まずは評価面談などの機会を利用し、昇給に至らなかった具体的な理由や、今後どのような成果を出せば評価されるのかを上司に確認することが重要です。しかし、そこで明確な基準が示されなかったり、納得のいく説明が得られなかったりする場合は、個人の努力では状況を改善するのが難しい環境であると考え、転職を検討するのが賢明です。
1-3【辞めるべき会社の特徴3】業績が悪化しているのに改善の見込みがない
昇給の原資となるのは、当然ながら会社の利益です。そのため、会社の業績が悪化している場合、昇給が見送られるのはやむを得ない側面もあります。問題なのは、その業績不振が一時的なものではなく、長期間にわたって改善の見込みがないケースです。
業界全体の市場が縮小していたり、競合他社に大きく差をつけられていたりと、構造的な問題を抱えている会社では、従業員個人の努力だけでは状況を好転させることは困難です。このような会社に留まり続けると、昇給がないどころか、将来的に給与の減額やリストラのリスクに直面する可能性も否定できません。
会社の将来性を見極めるためには、業界ニュースをチェックしたり、同業他社の動向と比較したりして、客観的な視点を持つことが重要です。もし自社の業績不振が深刻で、かつ具体的な改善策も示されていないのであれば、自身のキャリアを守るためにも早めに転職を検討すべきでしょう。
1-4【辞めるべき会社の特徴4】昇給なしの理由を説明せず、パワハラ的な対応をする
昇給がなかった際に、その理由を尋ねてもまともな説明がなかったり、逆に「文句があるのか」といった高圧的な態度を取られたりする場合、その会社は非常に危険なサインを発しています。このような対応は、従業員を尊重せず、健全なコミュニケーションが取れない企業体質の表れです。
労働者が自身の評価や待遇について質問することは、正当な権利です。それに対して誠実に向き合わず、パワハラ的な言動で抑えつけようとする環境では、長期的に安心して働くことはできません。
このような会社にとどまり続けると、精神的なストレスが蓄積し、心身の健康を損なうリスクさえあります。昇給の問題だけでなく、働く環境そのものに大きな問題があると考えられるため、自分の心とキャリアを守るためにも、一刻も早く転職を検討すべきです。我慢することが美徳ではなく、自身の尊厳を守るための決断が求められます。
1-5【辞めるべき会社の特徴5】正社員なのに昇給・賞与が一切ない
正社員として雇用されているにもかかわらず、長年にわたって一度も昇給がなく、さらに賞与(ボーナス)も支給されない場合、その会社は従業員への利益還元意識が極めて低いと言わざるを得ません。
法律上、企業に昇給や賞与の支払いを義務付ける規定はありません。しかし、多くの企業では、従業員のモチベーション維持や生活安定のために、業績に応じてこれらを支給するのが一般的です。
業績が良い時でさえ昇給や賞与が一切ないのは、経営陣が「人件費は固定費」と捉え、コスト削減を最優先している経営方針の表れかもしれません。このような会社では、従業員がどれだけ貢献しても正当な評価や報酬を得ることは難しく、将来的な年収アップはほとんど期待できないでしょう。
自身の働きが報われない環境にとどまり続けることは、キャリアの停滞に繋がります。待遇面の改善が見込めない場合は、転職によって正当な評価を得られる環境へ移ることを強くおすすめします。
1-6【辞めるべき会社の特徴6】同業他社と比較して明らかに給与水準が低い
自身の給与が、業界の標準的な水準と比較して著しく低い場合、それは会社があなたのスキルや経験を適正に評価していないサインかもしれません。勤続年数や実績を重ねているにもかかわらず、給与が市場価値から大きく乖離している状態は、将来のキャリア形成において大きなデメリットとなります。
現在の給与が適正かどうかを客観的に判断するためには、転職サイトや転職エージェントが提供する年収診断サービスを活用するのが有効です。同じ職種、同程度の経験年数を持つ人材が、転職市場でどのくらいの年収を得ているかを知ることで、現状を冷静に分析できます。
もし、あなたの市場価値が現在の給与を大幅に上回っていることが判明した場合、それはより良い待遇を提示してくれる企業へ移るべき強い動機となります。給与水準が低い会社に留まり続けることは、得られるはずだった生涯賃金を失うことにも繋がりかねません。
1-7【辞めるべき会社の特徴7】昇給交渉をしても改善されない・引き止めのみ
自身の貢献度や実績を具体的に示して昇給交渉を行ったにもかかわらず、会社側が真摯に対応せず、具体的な改善策も示さない場合は、その会社での将来的な成長は期待薄です。特に、退職の意向を伝えた途端に、場当たり的に昇給を提示してくるようなケースは注意が必要です。
このような引き止め目的の昇給は、根本的な評価制度の見直しを伴わない一時的な懐柔策であることがほとんどです。一度は昇給したとしても、会社の体質が変わらなければ、翌年以降も同じ不満を抱えることになる可能性が高いでしょう。
本当に従業員の成長を願う会社であれば、交渉の場で今後の評価基準やキャリアパスについて建設的な話し合いができるはずです。それができず、ただ引き止めるためだけに条件を提示してくる会社は、従業員を長期的な視点で育成する意思がないと判断できます。その場しのぎの対応に惑わされず、自身のキャリアプランに基づいた冷静な判断が求められます。
2昇給なしは違法?法的な観点から確認すべきポイント
「昇給ありと聞いていたのに、一向に給料が上がらないのは違法ではないのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。
結論から言うと、昇給がないこと自体が直ちに違法と判断されるケースは稀です。しかし、状況によっては法的な問題に発展する可能性もゼロではありません。
ここでは、昇給に関する法的なポイントを3つの観点から解説します。自身の状況と照らし合わせ、正しく理解しておくことが重要です。
2-1就業規則に「昇給あり」と記載があるのに昇給しない場合
まず確認すべきは、会社の就業規則です。もし就業規則に「毎年必ず昇給する」といった断定的な記載があるにもかかわらず昇給が行われない場合、それは労働契約違反と見なされる可能性があります。
しかし、多くの企業の就業規則では、「ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は、行わないことがある」といった但し書きが加えられています。厚生労働省が公開しているモデル就業規則にも同様の記載があり、これが一般的です。
この但し書きがある場合、企業側は業績不振などを理由に昇給を見送ることが可能となり、違法性を問うことは難しくなります。求人票に「昇給年1回」と記載があっても、それはあくまで「昇給の可能性がある」という意味合いで使われているケースがほとんどだと理解しておきましょう。
2-2昇給制度がない会社は違法ではないが要注意
日本の法律では、企業に対して昇給制度を設けることを義務付けていません。労働基準法では、昇給に関する事項を定めた場合には就業規則に記載する義務があるとされていますが、昇給制度そのものの有無を問うものではありません。
そのため、会社に昇給制度が一切なくても、法的に違法となることはありません。残念ながら、世の中には昇給や賞与、退職金といった制度がない会社も存在するのが実情です。
しかし、違法ではないからといって、そのような会社で働き続けることが推奨されるわけではありません。昇給制度がないということは、従業員の長期的な貢献やスキルアップを金銭的に評価する仕組みがないということです。これは、従業員のモチベーション低下に直結し、優秀な人材が定着しにくい環境である可能性を示唆しています。長期的なキャリア形成を考えるならば、注意すべき企業体質と言えるでしょう。
2-3最低賃金を下回る給与は違法
昇給の有無にかかわらず、絶対に遵守されなければならないのが「最低賃金法」です。企業は、雇用する労働者に対して、国が定める最低賃金額以上の給与を支払う義務があります。これは、正社員、契約社員、パート、アルバイトなど、すべての雇用形態に適用されます。
最低賃金は都道府県ごとに定められており、毎年改定される可能性があります。自身の給与を時給換算した際に、この最低賃金を下回っている場合は明確な法律違反です。
もし給与が最低賃金を下回っている疑いがある場合は、給与明細とタイムカードなどの勤務記録を用意し、最寄りの労働基準監督署に相談しましょう。昇給がないことへの不満とは次元の異なる、重大な問題です。
3昇給なしでモチベーションが保てない時の対処法3選
昇給がないと、仕事へのやる気を失ってしまうのは当然のことです。しかし、ただ不満を抱え続けるだけでは状況は改善しません。モチベーションの低下を感じたときこそ、現状を打破するための具体的な行動を起こすチャンスです。
ここでは、昇給なしでモチベーションが保てない時に試すべき3つの対処法をご紹介します。受け身の姿勢から脱却し、主体的にキャリアを動かしていきましょう。
3-1【対処法1】昇給しない理由を上司に直接聞く
なぜ昇給しなかったのか、その理由が分からなければ対策の立てようがありません。まずは直属の上司に面談の機会を設けてもらい、昇給が見送られた理由を直接尋ねてみましょう。
このとき、感情的に不満をぶつけるのではなく、「今後の成長のために、自分に不足している点や期待されている役割について具体的に教えていただきたい」という前向きな姿勢で臨むことが重要です。
上司から具体的なフィードバックを得ることで、自身の評価を客観的に把握し、次回の評価期間に向けて何をすべきかが明確になります。また、真摯に相談することで、上司があなたの意欲を再認識し、今後のキャリアを考える上で良いきっかけになる可能性もあります。
3-2【対処法2】昇給交渉を行い、具体的な改善を求める
自身の業務実績や会社への貢献度に自信がある場合は、受け身で待つのではなく、自ら昇給交渉を行うことも有効な手段です。交渉の際は、ただ「給料を上げてください」と要求するのではなく、客観的な事実やデータをもとに、なぜ自分が昇給に値するのかを論理的に説明する必要があります。
例えば、以下のような具体的な成果をまとめて提示すると良いでしょう。
- 売上目標に対する達成率や、前年比での成長率
- コスト削減や業務効率化に貢献した具体的な事例と金額的効果
- 担当プロジェクトの成功事例や、チームへの貢献内容
これらの客観的な根拠を示すことで、上司もあなたの要求の妥当性を理解し、さらに上層部へ掛け合いやすくなります。
感情的な訴えではなく、あくまでビジネスライクな交渉として、自身の価値を冷静にアピールすることが成功の鍵です。
3-3【対処法3】副業やスキルアップで収入源を増やす
現在の会社での昇給が当面見込めない場合、収入を増やす方法は社内だけにあるとは限りません。会社の就業規則で許可されているのであれば、副業を始めて新たな収入源を確保するのも一つの賢明な選択です。
副業は単に収入を補うだけでなく、本業では得られないスキルや経験を積む絶好の機会にもなります。そこで得た知見が本業に活かされ、結果的に社内での評価向上に繋がる可能性もあります。
また、将来の転職を見据えて、専門的なスキルを習得するための学習に時間を投資するのも良いでしょう。資格取得やプログラミングスクールへの参加など、自己投資によって自身の市場価値を高めることができれば、昇給制度が整った企業への転職も有利に進められます。会社の評価に依存せず、自らの力で収入を増やす選択肢を持つことは、精神的な安定にも繋がります。
4昇給なしで辞める前に確認すべきこと5選
昇給がないという不満から衝動的に退職を決めてしまうと、後悔に繋がる可能性があります。辞めるという決断を下す前に、いくつか冷静に確認しておくべき重要なポイントがあります。
ここでは、転職活動を有利に進め、退職後の生活を安定させるために、事前にチェックしておきたい5つの項目を解説します。これらの準備を怠らないことが、より良い未来への第一歩となります。
4-1【確認ポイント1】転職市場での自分の市場価値
現在の会社を辞める前に、まずは転職市場における自身の「市場価値」を客観的に把握することが極めて重要です。今の給与が不満だとしても、それが市場の相場と比較して適正なのか、それとも不当に低いのかを知る必要があります。
市場価値を調べるには、転職サイトに登録して同業種・同職種の求人情報を確認したり、転職エージェントに相談してキャリアカウンセリングを受けたりするのが有効です。自分のスキルや経験が、他の企業でどの程度の年収で評価されるのかを知ることで、転職すべきかどうかの判断材料になります。
もし現在の給与が市場価値を大きく下回っているなら、転職によって年収アップを実現できる可能性は高いでしょう。逆に、市場価値と大差ない場合は、スキルアップなどの自己投資が先決かもしれません。冷静な自己分析が、次のステップを誤らないための鍵となります。
4-2【確認ポイント2】退職理由を明確にする
転職活動を始める前に、「なぜ今の会社を辞めたいのか」という退職理由を自分の中で明確に整理しておくことが不可欠です。単に「昇給がないから」という不満だけでなく、その背景にある本質的な問題を深掘りしましょう。
例えば、「正当な評価制度がない」「会社の将来性に不安がある」「スキルアップできる環境ではない」など、より具体的な理由を言語化することが重要です。これにより、次の職場で何を重視すべきかという、転職の軸が定まります。
また、転職の面接では必ず退職理由を質問されます。その際に、前職への不満を述べるだけではネガティブな印象を与えかねません。理由を明確にしておくことで、「キャリアアップのため」「新たな分野に挑戦するため」といった前向きな表現に転換し、採用担当者に自身の意欲を効果的にアピールすることができます。
4-3【確認ポイント3】転職先の昇給制度・評価制度
昇給がないことを理由に転職するのですから、次の職場選びで最も重視すべきは、昇給制度や評価制度が明確で、かつ公正に運用されているかという点です。求人票の「昇給あり」という記載だけを鵜呑みにせず、その実態を詳しく確認する必要があります。
具体的には、面接の場で評価制度について質問するのが最も確実です。以下のような点を確認すると良いでしょう。
- 昇給のタイミング(年1回、半期ごとなど)
- 評価基準(成果、能力、勤務態度など、何を重視するか)
- 過去の昇給実績や平均昇給額
- 給与テーブルや等級制度の有無
これらの質問に対して、採用担当者が明確かつ具体的に回答できる企業は、評価制度の透明性が高いと考えられます。
個人では聞きにくい情報も、転職エージェントを介せば代わりに確認してもらえる場合があるため、積極的に活用しましょう。同じ失敗を繰り返さないためにも、制度の確認は徹底して行うべきです。
4-4【確認ポイント4】退職のタイミング(ボーナス支給前後など)
退職を決意した場合、いつ会社を辞めるかという「タイミング」も非常に重要です。特に賞与(ボーナス)の支給が近い場合は、慎重に判断する必要があります。
多くの企業では、賞与の支給日に在籍していることが支給の条件となっています。そのため、支給日直前に退職してしまうと、査定期間中に貢献していたとしても賞与を受け取れない可能性が高いです。可能な限り、賞与を受け取った後に退職の意向を伝えるのが経済的には賢明な選択と言えるでしょう。
退職の意向を伝えた後の賞与査定で、評価が不当に下げられるリスクもゼロではありません。就業規則の賞与規定を確認し、「支給日に在籍する者に支払う」といった条項があるかを確認しておくと安心です。また、繁忙期を避けるなど、職場への配慮も円満退職のためには大切です。
4-5【確認ポイント5】退職後の生活資金・失業保険の受給条件
転職先が決まる前に退職する場合、収入が途絶える期間が発生します。その間の生活を支えるために、十分な貯蓄があるかを確認しておくことは必須です。一般的には、生活費の3カ月から半年分程度の資金があると安心とされています。
また、雇用保険に一定期間加入していれば、退職後に「失業保険(基本手当)」を受給できる可能性があります。自己都合で退職した場合、通常は申請から7日間の待機期間の後、さらに1カ月間の給付制限期間を経てから支給が開始されます。
受給資格や受給額、期間は、雇用保険の加入期間や離職理由、年齢によって異なります。事前にハローワークのウェブサイトで情報を確認したり、直接相談に行ったりして、自分が受給対象となるか、いつから、いくら受け取れるのかを把握しておきましょう。計画的な資金準備が、安心して転職活動に専念するための基盤となります。
5昇給なしを退職理由にする際の伝え方3つのポイント
昇給がないことは正当な退職理由ですが、伝え方一つで相手に与える印象は大きく変わります。円満退職を目指し、かつ転職活動でもマイナスイメージを与えないためには、戦略的な伝え方が求められます。
ここでは、昇給なしを退職理由として伝える際に押さえておきたい3つの重要なポイントを解説します。感情的にならず、自身のキャリアを前向きに捉えた伝え方を心がけましょう。
5-1【伝え方のポイント1】感情的にならず、事実ベースで伝える
退職の意向を伝える際、最も避けるべきは感情的になることです。「給料が安くてやっていられない」といった不満をそのままぶつけてしまうと、ただの愚痴と受け取られかねず、円満な退職から遠ざかってしまいます。
重要なのは、あくまで冷静に、客観的な事実を基に話すことです。例えば、「自身のこれまでの実績や貢献度と、現在の給与水準との間に乖離があると感じております」といった形で、事実と自身の考えをセットで伝えます。
このように事実ベースで話すことで、相手も感情的にならずに話を聞き入れやすくなります。自身の市場価値やキャリアプランに基づいた、論理的で建設的な対話を心がけることが、スムーズな退職交渉の鍵となります。
5-2【伝え方のポイント2】「キャリアアップのため」とポジティブに言い換える
転職の面接や、現在の職場に退職理由を伝える際には、「昇給がない」というネガティブな事実をそのまま伝えるのではなく、「キャリアアップのため」というポジティブな表現に言い換えることが非常に重要です。
例えば、「現職では評価制度の観点から、自身の成果を正当に報酬へ反映させることが難しいと感じました。今後は、成果が明確に評価・還元される環境で、より高い目標に挑戦し、自身の専門性を高めていきたいと考えております」といった伝え方ができます。
このように表現することで、単なる不満ではなく、自身の成長意欲や将来への展望を示すことができます。これは、現職への配慮となると同時に、転職先の企業に対しても「向上心のある人材」というポジティブな印象を与える効果があります。退職は、未来へのステップであるという姿勢を一貫して示すことが大切です。
5-3【伝え方のポイント3】引き止めに対する対応を事前に準備する
退職の意向を伝えると、会社側から「給料を上げるから残ってほしい」といった引き止めに遭うケースは少なくありません。その場で条件を提示されると心が揺らぐかもしれませんが、安易に応じるのは危険です。
引き止めに応じても、会社の根本的な評価制度や体質が変わらない限り、また同じ問題に直面する可能性が高いことを理解しておくべきです。そのため、事前に「もし引き止められたら、どう対応するか」を固く決意しておくことが重要です。
「大変ありがたいお話ですが、自身のキャリアプランを熟考した上での決断ですので、意思は変わりません」といったように、感謝の意を示しつつも、退職の意思が固いことを明確に伝えましょう。強い意志を持って臨むことで、無用なトラブルを避け、スムーズな退職手続きを進めることができます。
6辞めると言ったら昇給・昇格を提示された時の判断基準
退職を切り出した途端、上司から「辞めないでくれ。給料を上げるから」と昇給や昇格を提示されることがあります。これは「カウンターオファー」と呼ばれ、会社があなたを重要な人材と認識している証拠とも言えます。しかし、この申し出を安易に受け入れるべきか、慎重な判断が求められます。
ここでは、カウンターオファーを受けた際に、冷静に状況を見極めるための3つの判断基準を解説します。
6-1引き止めのための一時的な昇給か、継続的な改善か見極める
まず最も重要なのは、提示された昇給がその場しのぎの引き止め策なのか、それとも会社の評価制度や待遇が根本的に改善された結果なのかを見極めることです。
もし、あなたの退職をきっかけに評価制度全体の見直しが行われるなど、会社として継続的な改善に取り組む姿勢が見られるのであれば、残留を検討する価値はあるかもしれません。
しかし、単に「君の給料だけ特別に上げる」といった一時的な対応である場合、根本的な問題は何も解決していません。一度退職を口にしたことで、社内で「不満分子」と見なされ、居心地が悪くなる可能性もあります。また、結局は会社の体質が変わらず、数年後に再び同じ不満を抱えることになるリスクが高いでしょう。その場限りの条件に惑わされず、長期的な視点で判断することが肝心です。
6-2昇給額が市場価値に見合っているか確認する
会社から昇給を提示された場合、その金額が自身の市場価値に見合っているかを客観的に評価する必要があります。退職を決意したきっかけの一つが、給与が市場価値より低いという点にあったはずです。
提示された昇給後の年収と、転職市場で想定される年収を比較検討しましょう。もし、すでに他の企業から内定を得ている場合は、その企業の提示額が一つの基準になります。転職エージェントに相談し、自身のスキルや経験が他社でどの程度評価されるのか、客観的な意見を求めるのも有効です。
提示額が市場価値と同等かそれ以上であれば、残留も選択肢の一つとなり得ます。しかし、それでも市場価値を下回るようであれば、会社は依然としてあなたを正当に評価していないことになります。その場合は、初志貫徹して転職する方が、長期的に見てより良いキャリアを築ける可能性が高いでしょう。
6-3会社の将来性と自分のキャリアプランを照らし合わせる
提示された昇給額に満足できたとしても、それだけで残留を決めるのは早計です。改めて、その会社に留まることが自身の長期的なキャリアプランと合致しているかを考える必要があります。
会社の事業内容や業界の将来性、社内で目指せるキャリアパス、得られるスキルや経験などを総合的に評価しましょう。たとえ目先の給与が上がったとしても、会社の将来性が乏しかったり、自身の成長が見込めない環境であったりすれば、数年後には再びキャリアの停滞に悩むことになります。
退職を決意した時の「なぜ辞めたいと思ったのか」という原点に立ち返り、昇給以外の不満点(人間関係、労働環境、仕事のやりがいなど)が解消されるのかを冷静に分析することが重要です。給与は重要な要素ですが、それだけが仕事のすべてではありません。自身のキャリア全体を俯瞰し、後悔のない選択をしましょう。
7昇給なしの会社から転職を成功させる方法4選
昇給がない会社からの転職は、自身のキャリアを好転させる大きなチャンスです。しかし、ただ闇雲に活動しても成功は掴めません。年収アップと働きがいのある環境を手に入れるためには、戦略的なアプローチが不可欠です。
ここでは、昇給なしの会社から脱出し、転職を成功に導くための4つの具体的な方法を解説します。これらのポイントを押さえ、計画的に転職活動を進めましょう。
7-1【転職成功の方法1】転職エージェントを活用して年収アップを狙う
年収アップを本気で目指すなら、転職エージェントの活用は必須と言えるでしょう。転職エージェントは、一般には公開されていない「非公開求人」を多数保有しており、その中には好待遇の求人が含まれていることが多いです。
キャリアアドバイザーは、あなたのスキルや経験を客観的に評価し、市場価値に基づいた適正な年収水準を教えてくれます。さらに、企業との年収交渉を代行してくれるため、個人で交渉するよりも有利な条件を引き出せる可能性が高まります。
また、企業の内部情報(昇給制度の実態や社風など)にも詳しいため、「入社したのに話が違う」といったミスマッチを防ぐことにも繋がります。複数のエージェントに登録し、自分に合ったアドバイザーを見つけることが、転職成功への近道です。
7-2【転職成功の方法2】スキルや実績を具体的にアピールする
採用担当者に「この人材を採用したい」と思わせるためには、これまでの経験で培ったスキルや実績を具体的かつ客観的にアピールすることが不可欠です。「頑張りました」といった抽象的な表現ではなく、数字を用いて成果を示すことを意識しましょう。
例えば、営業職であれば「売上目標を〇%達成した」、企画職であれば「新商品の投入により、市場シェアを〇%拡大させた」といったように、具体的な数値を盛り込むことで、あなたの貢献度が明確に伝わります。
また、どのような課題に対して、自分がどう考え、どう行動し、結果としてどのような成果に繋がったのかをストーリーとして語れるように準備しておくことも重要です。これにより、単なる作業者ではなく、主体的に課題解決ができる人材であることを強く印象付けられます。職務経歴書や面接で、自身の価値を的確にプレゼンテーションする能力が、転職成功を左右します。
7-3【転職成功の方法3】昇給制度が明確な企業を選ぶ
昇給がない会社から転職する最大の目的は、正当な評価と報酬を得られる環境に移ることです。そのため、転職先を選ぶ際には、昇給制度が明確に定められ、かつ透明性を持って運用されている企業を選ぶことが極めて重要になります。
求人票の「昇給あり」という言葉だけでなく、面接の場で評価制度について具体的に質問しましょう。例えば、「どのような評価基準で昇給が決まるのか」「給与テーブルは公開されているか」「過去の昇給実績はどの程度か」などを確認することで、その企業の評価に対する姿勢が見えてきます。
評価基準が曖昧であったり、質問に対して歯切れの悪い回答しか返ってこない企業は、入社後に同じ不満を抱える可能性があります。成果主義、年功序列など、企業によって評価の軸は様々です。自身の働き方や価値観に合った評価制度を持つ企業を選ぶことが、長期的に満足して働くための鍵となります。
7-4【転職成功の方法4】面接で給与交渉を積極的に行う
転職活動の最終段階である給与交渉は、年収アップを実現するための非常に重要なプロセスです。特に内定が出た後のタイミングは、企業側もあなたに入社してほしいと考えているため、交渉がしやすい状況にあります。
交渉に臨む際は、希望年収額とその根拠を明確に伝えることが大切です。事前に調査した自身の市場価値や、前職での給与額、そして入社後にどのような貢献ができるかを具体的に示すことで、交渉の説得力が増します。
「希望年収は〇〇円です。その根拠としましては、前職での実績と、貴社で〇〇といった形で貢献できる点を考慮しております」といったように、自信を持って伝えましょう。
ただし、あまりに現実離れした金額を提示すると、かえって印象を悪くする可能性もあります。転職エージェントを利用している場合は、キャリアアドバイザーに相談しながら、現実的な落としどころを探るのが賢明です。遠慮せずに、自身の価値を正当に評価してもらうための交渉を積極的に行いましょう。
8まとめ
昇給がないという状況は、自身のキャリアを見つめ直す重要なサインです。この記事で解説した「辞めるべき会社の特徴」に複数当てはまる場合は、将来性や成長が見込めない環境である可能性が高く、転職を真剣に検討すべきタイミングと言えるでしょう。
昇給がないこと自体は必ずしも違法ではありませんが、評価制度が不透明であったり、業績改善の見込みがなかったりする会社に留まり続けることは、自身の市場価値を下げ、将来の収入を大きく左右するリスクを伴います。
まずは自身の市場価値を客観的に把握し、転職エージェントなどを活用して、あなたのスキルや経験を正当に評価してくれる企業を探し始めることが、現状を打破する第一歩です。感情的な判断ではなく、事実に基づいた冷静な分析と戦略的な行動で、後悔のないキャリア選択を実現しましょう。
9よくある質問
昇給なしの会社の割合はどのくらいですか?
厚生労働省の「令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、定期昇給制度がある割合が81.2%、定期昇給制度がない割合は17.7%です。
昇給なしでも頑張るべきですか?
一概には言えませんが、判断基準は「給与以外のメリットがあるか」です。例えば、将来のキャリアに繋がる貴重なスキルや経験が得られる、やりがいのある仕事内容である、良好な人間関係や働きやすい環境がある、といった場合は、短期的に昇給がなくても頑張る価値はあるかもしれません。しかし、そのようなメリットもなく、ただ消耗するだけなら見切りをつけるべきです。
辞めると言ったら昇給を提示されましたが、受け入れるべきですか?
慎重に判断すべきです。その昇給が、あなたの退職を阻止するためだけの場当たり的な対応である可能性が高いからです。根本的な評価制度や会社の体質が変わらない限り、また同じ不満を抱えることになりかねません。提示された条件だけでなく、会社の将来性や自身のキャリアプランと照らし合わせ、長期的な視点で冷静に判断することが重要です。
昇給なしは退職理由として正当ですか?
はい、正当な退職理由です。給与は労働の対価であり、自身の貢献が報酬に反映されないことは、働くモチベーションを維持する上で深刻な問題です。ただし、面接などで伝える際は「キャリアアップのため、成果が正当に評価される環境で働きたい」など、前向きな表現に言い換えるとよいでしょう。そうすることで、採用担当者に好印象を与えることができます。

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