今回は、株を買う前に準備する手続きや作業を説明し、実際の注文の出し方も説明します。
この記事を読んでわかること
- 個人が上場株式を売買できるのは証券会社だけ
- 対面型証券会社とネット(オンライン)証券ではサービス内容が異なる
- 株を売買するには「銘柄」「価格」「株数」の3つの要素が必要
- 指値注文と成行注文の違い
- 株を売却するまでが投資
泉田 良輔 CMA
1株を買える場所は証券会社だけ
みなさんが株を買うにはどこに行けばよいのでしょうか。皆さんが株を買えるように株を扱っているところは証券会社です。証券会社以外では株を買うことができません。
証券会社は対面型証券とネット証券の2種類
証券会社を大きく分類すると、対面型証券とネット証券の2種類になります。対面型証券とは、「ABC証券XY支店」という店舗を持つ大手証券会社や中小証券会社のことです。その名の通り、証券会社の営業担当のスタッフと直に接することができます。
一方のネット証券とは、インターネット経由で証券を売買するなど、すべての取引を完結できるサービスを提供している証券会社のことです。店舗を持たないことから、オンライン証券とも呼ばれます。
対面型証券のメリットとデメリット
対面型証券会社の最大のメリットは、担当の営業マンに質問したり、アドバイスを受けたりすることができることです。これはほとんどのネット証券では受けることができないサービスです。
一方で、株の売買取引に関わる手数料が高いことがデメリットです。これは営業マンなどの人件費をまかなうためです。
ネット証券のメリットとデメリット
ネット証券の最大のメリットは、その手数料の安さです。
一方で、デメリットは、担当営業マンから情報を得たり、相談に乗ってもらったりすることができないことです。全ての投資行動を誰にも相談せずに決めなければなりません。そのため投資家はDIY(Do It Yourself)を行う必要があります。
対面型証券 | ネット証券 | |
取引手数料 | 高い | 非常に安いか無料 |
投資情報の提供 | 営業マンが随時電話などで選別して教えてくれる | レポートやニュースをネット上で読むことができる |
相談・質問 | 担当スタッフが対応 | 個別の投資相談についてはできない ※IFAなどのコースを選択していれば別 |
口座開設の流れと注意点
自分にあった証券会社を選定したら、口座開設をします。
どこの証券会社が合うのか決められなければ、いくつか気になった証券会社を一度に開設してしまうのがおすすめです。
なぜならば、口座開設に必要な資料は共通で、コピーや住民票の取得などの面倒なことは1度にまとめた方が楽だからです。
ネット(オンライン)証券での口座開設であれば、証券会社のホームページにアクセスして、インターネットで口座開設の申し込みをすることができます。最近のネット証券では、オンラインでほとんどの手続きが完結します。
また、対面型証券であれば、口座開設申込書に必要事項(住所、氏名など)を記入して、本人確認書(運転免許書やパスポート等)と一緒に提出もしくは郵送をします。
口座開設した後、その口座に入金します。口座に入金しないうちは、株を買う注文を出しても受け付けてくれません。
口座に入金したお金を「投資資金」と呼びます。
なお、2016年1月から、証券会社で新規口座開設をする際には、マイナンバーが必要になりました。
2株を買う時に必要な3つの要素「銘柄」「価格」「株数」
株を買う時には、何を(銘柄)、いくらで(価格)、どれだけ(株数)買うのかを決めておきます。この3つの要素は必須です。株を買うためには、どれ1つでも欠くことができません。
買いたい株(銘柄)を決める
まずは、買いたい株をが決める必要があります。
そして、その株(銘柄)の会社名と銘柄コードを調べます。銘柄コードとは、その会社に付いている4ケタの数字です。
たとえば、トヨタ自動車ならば「7203」という銘柄コードが付いています。この銘柄コードだけでも注文を出すことができます。
銘柄コードは、会社四季報の他、Yahoo!ファイナンスなどインターネットでも簡単に調べることができます。
たとえば、ソニーの銘柄コードを調べたい時は、「ソニー 株価銘柄」で検索してみましょう。その検索結果の画面に4桁の数字が表示されます。それが銘柄コードです。
銘柄コードは記憶する必要がありませんが、記憶できるようになるといちいち調べなくてもよいので、その後の作業が楽になるというメリットがあります。
余談ですが、米国株は銘柄コードのことをティッカーといい、アルファベットで表現されています。
いくら(価格)で買うか決める
その株をいくらで買いたいのか考えましょう。
指値注文と成行注文とは
具体的な価格が決まっていれば、その価格で注文を出しますが、これを「指値注文」と呼びます。
もし、具体的な価格が決まっていない場合は、その時々の市場の取引の価格で買うことになります。これを「成行注文」と言います。
株を買う時の注文は、この2つのうちどちらかとなります。
指値注文の仕方
指値注文の場合、実現可能で現実的な価格にする必要があります。
たとえば、自分が買いたいと思っている株が現在、株式市場での取引価格が1000円前後だったとしましょう。その時に、700円などの安い価格で指値注文しても、売買が成立する可能性は低く、いつになっても株を買うことができません。
したがって、なるべく安く買いたいと思っても、短期間に実現しなさそうな株価では買える可能性が低くなるので、直近2~3日間での最安値や、当日の安値を少し下回る価格などの具体的な希望価格を考える必要があります。
余談ですが、こうした安値を上手にとらえられるようになると、トレーダーとしての素質があるということになります。
株初心者は成り行き注文でもよい
ただ、最初からこうした具体的な希望価格を持つことは、多くの人にとって少し難しいようです。そのような場合は、成行注文にすることがよいでしょう。
成行注文の場合、現在取引されている価格から大きく乖離した価格になることは、まずありません。
たとえば、現在の市場の取引価格が1000円前後の場合、980円から1020円くらいの間に収まると考えられます。
どれくらい(株数)買うか決める
その株をどれくらい買うのか、株数を決めます。
最初の発注は最低単元株数がおすすめ
ただし、証券会社に開設した口座へ入金した金額以内となります。最初に買う時は、最低単元株数(100株、もしくは、1000株)にするのがよいでしょう。
なぜならば、買った後に様子見ができるからです。株価は常に変動しますが、もし買った後に大きく下げてしまった場合、最低単位元株数ならばその影響を最小限に抑えることができます。
発注の際の注意点
株数の入力は、くれぐれも注意しましょう。間違って入力すると、発注金額が極端に大きくなったりします。
確認画面があるので、そうしたミスも避けられるような作りになっていますが、確認画面を省略する機能もあるので、いずれにせよ注意が必要です。
3注文の出し方
ここまでの内容が整理できたらいよいよ株を買ってみます。
「対面型証券」と「ネット証券」での違い
証券会社に株を買う条件(銘柄、価格、株数)を知らせることを「注文を出す」と言います。単に「発注」ということもあります。
株を買う時は、この「注文」を出さなくてはなりません。ただし、対面型証券とネット証券では注文の出し方が違ってきます。
対面型証券では、担当の営業スタッフに直接口頭で、あるいは電話で注文を伝えます。その担当スタッフから確認がありますので、注文内容で大きな間違いを起こす可能性は低くなります。営業マンとの会話及び注文内容は通常録音されています。
一方のネット証券では、スマホ等の端末に自ら入力して注文を出します。システム端末が確認メッセージを表示しますが、対面型証券のように相手が確認してくれるものではないため、最終的には自分で確認する必要があります。そのため、数字の入力ミスなどを起こしやすく自分自身で慎重に注文を入力する必要があります。
個人投資家としてネット証券のベテランでも、年に何回かはミスの大小はあるにせよ、ミスはあります。
「指値注文」と「成行注文」の違い
注文を出す時の価格を指定する「指値注文」にするか、価格を決めない「成行注文」にするか決める必要があります。
通常、指定しない場合は成行注文となります。
指値注文 | 成行注文 | |
価格の指定 | あり | なし |
対面型証券 | 担当スタッフがどちらにするか尋ねてくる | |
ネット証券 | 自分で選択 | 自分で選択 |
対面型証券の場合、担当スタッフが指値か成行かを尋ねてきます。
一方、ネット証券の場合は、自分で指値か成行かを決めなくてはなりません。従来のネット証券では、この選択をしない場合、自動的に成行注文となることが多かったようです。しかし、現在では、成行注文も自身で指定するようになっています。
株数を決める際の注意点
口座の残金が少ないと注文が受け付けられなくなります。「おおよその価格×買う株数」の注文金額が口座に残金にあるかどうか確認します。
残金が少ない場合、対面型証券は担当スタッフが教えてくれます。
また、ネット証券の場合は、残金以上の買付けができないようになっています。
いずれの場合も、残金以上の買付けはできないようになっていますが、買う株数には常に注意することが必要です。
「買い注文」の成立の確認
株式の取引において、買い(または売り)の注文が執行されて売買が成立することを「約定」と言います。
対面型証券の場合、担当の営業スタッフから電話で「約定しました」という旨の連絡があります。一方、ネット証券の場合は、自分の口座にアクセスして確認する必要があります。メールで約定の連絡を受け取ることもできます。
ただし、指値注文で希望した価格が合わない時、その銘柄の取引量が極端に少ない時、その銘柄への買い注文(または売り注文)が殺到した時などは、約定されないことがあります。
買い注文が約定されなかった場合、その注文はいったんキャンセルになることがあります(ネット証券では会社ごとにより設定があります)。その際は、もう一度改めて注文を出す必要があります。
対面型証券では担当スタッフに確認しておきましょう。また、ネット証券では、自分自身でスマホ等の端末で確認できます。
4売り時を逃さないためにすべきこと
株を買った後、その株を持ち続けるのか、あるいは、何処かのタイミングで売るのかを常に考えておくことは、株式投資のリターンを可能な限り大きくするために非常に重要です。売り時を逃すとリターンが小さくなるだけでなく、損失を計上してしまう場合もあるのです。
買った後で行う準備、日々の確認作業、そして、万が一、株価が大きく下がった時の対処方法を事前に習得しておくことで、株式投資を成功に導く可能性がより高くなります。
目標株価を決める
この価格なら株を売って利益を得たい、という価格を決めましょう。この価格を「目標株価」と言います。
目標株価の決め方は、「買った価格の+10%増し」や「直近1年間の高値」など様々ですが、現実的な価格にすることが必要です。「買った価格の2倍以上」等としていると、いつになっても株を売ることができなくなります。
株価は毎日チェックする
株を買った後、その株価をチェックすることも株式投資の一部です。一日中常にチェックする必要はありませんが、1日に1回くらいチェックするのが望ましいと言えます。
株価は動く時は大きく動くこともありしばらく株価をチェックしない間に、売り時を逃してしまうことはよくあります。
また、定期的に株価をチェックすることで、株式投資をより身近に感じることができるようになります。
株価が上がったら売り時を考える
買った株の価格が目標株価に達したら、いったん株を売ることを考えます。
その際に、株価がまだ上がりそうなのか、あるいは、もう上がりそうでないのかを判断します。
この判断は少し難しいですが、株価チャートなどを見て参考にするのも1つの手段です。
株価が下がった時の対処法
泉田良輔