証券会社出身の私がおすすめする証券口座の選び方

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くらしとお金の課題解決サービス「Mechoice」。様々な領域で活躍される皆さんに、専門分野について分かりやすく解説してもらう企画「専門家インタビュー」を始めました。専門家の思いや考えを忌憚なく語っていただきます。

当企画第二弾として、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」の編集長を務める株式会社モニクルリサーチの宮野茉莉子氏にお話を伺いました。

miyanomariko 専門家

宮野 茉莉子 LIMO編集長

1984年生まれ。群馬県出身。東京女子大学哲学科卒業後、2008年に野村證券株式会社に入社。支店にてファイナンシャル・コンサルティング課に配属され、国内外株式、国内外の債券、投資信託、保険商品などの販売を通じ、主に富裕層や個人顧客向けに資産運用コンサルティング業務に従事し、顧客のライフプランに寄り添った提案を行った。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。

宮野茉莉子さんのご経歴

これまでのご経歴についてお聞かせください。

 

宮野 大学を卒業後、野村證券に入社し支店へ配属され、個人向けのリテール営業を担当していました。すでに口座を開設している顧客や新規顧客に、お客様のご意向やリスク許容度、ライフプランなどにあわせた提案を行っていました。

現在のご職業につかれたきっかけなどがあればお聞かせください。宮野さんのご専門や保有されている資格についてお聞かせください。

 

宮野 証券会社を家庭の事情で退職後、転勤への帯同や育児をしながらでもできる仕事としてフリーライターになりました。フリーライターとして子育てや教育、マネーなどの執筆や編集をする中で、2021年にナビゲータープラットフォーム(現・モニクルリサーチ)に入社してマネー記事の編集を続け、2024年4月よりLIMO編集長となりました。

資格は2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)と証券外務員一種を保有しています。

初心者が証券口座を選ぶ際に気を付けた方がよいこと

ネット証券と店頭証券の口座開設はどちらがよいでしょうか?

 

宮野 ネット証券はスマホで口座開設から情報収集、売買までできるので、ネットで完結できる人や仕事や家事育児など忙しい人に向いています。

店頭証券でも会社によって同様のことが可能ですが、社員に相談したいなどのご希望があれば店頭証券での口座開設も一つでしょう。

ネット証券を選ぶ際の注意点を教えてください。

 

宮野 手数料とポイント、使いやすさの3つです。まず手数料ですが、売買の都度かかるものなので、同じ取引をするにしても手数料によって利益など変わるものです。できるだけ手数料が安い会社を選ぶと売買もしやすいでしょう。

また、取引内容によってはポイントがつくサービスをしている会社もあります。ご自身がはじめたい取引でポイントが付与されるのであれば、還元率が高い会社を選ぶといいでしょう。

また、日々の情報収集や取引、入出金などの使いやすさを確認することも長い目でみれば重要です。

ネット証券を選ぶなら、どこの証券口座がおすすめか教えてください。

 

宮野 ネット証券のおすすめはSBI証券と楽天証券です。

上記のようにお考えになった理由を証券会社ごとに教えてください。

 

宮野 SBI証券は条件を満たせば国内株式の売買手数料0円、また新NISAの米国個別株式と海外ETFの売買手数料0円など手数料が安いのが特徴です。

また、投資信託やIPO銘柄の取扱数も豊富なので、さまざまな取引がしやすいでしょう。Vポイントをはじめとして複数のポイントサービスに対応しており、取引によってポイントが貯まります。

楽天証券も条件を満たせば国内株式や、NISAでの米国株式や海外ETFが手数料無料です。楽天証券も取扱数が豊富ですし、取引によっては楽天ポイントが貯まります。

 

 

3ネット証券で始める新NISAおすすめ活用法

新NISAの概要について教えてください。

 

宮野 NISAは通常利益に対して20.315%かかる税金が非課税になる制度で、新NISAは2024年にスタートしました。新NISAの特徴は旧NISAよりも年間投資枠が増え、つみたて投資枠で年120万円、成長投資枠で年260万円となっており、非課税枠(総枠)は1800万円(うち成長投資枠は1200万円)までです。

また、成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能になったり、非課税期間が無期限になるなど、長期的な資産形成が可能となりました。

投資初心者が証券口座を開設して新NISAを始めるときの注意点を教えてください。

 

宮野 新NISAは旧NISAに比べて非課税枠が増え、非課税期間が無期限などと自由度が高くなっているからこそ、個人に合った投資が重要といえます。

貯蓄の中でどれくらいの割合を投資にまわすか、リスク許容度はどれくらいか、投資方法や金融商品はどうするか、いつ売却するかなど、自身にあった運用をすることが重要です。世の中には数多くの情報が出回っていますが、自分に合った投資金額や商品、投資方法を考えましょう。

つみたて投資枠、成長投資枠のおすすめの活用法を教えてください。

 

宮野 初心者の方がまず新NISAをはじめるなら、つみたて投資枠が向いているでしょう。毎月一定金額を買い付ける積立投資で、価格が高いときに少なく、低いときに多く買い付けるので購入単価が平準化されます。

投資方法には大きくわけて積立投資と一括投資がありますが、積立投資であれば一度設定することで買い付けタイミングの判断がいらないので、初心者の方や仕事に家事に忙しい現役世代でも投資をはじめやすいでしょう。ご自身にあわせた金額と、長期間運用したいと思える商品選びを行いましょう。

一方で、成長投資枠は株式なども投資ができますし、積立投資だけでなく一括投資が可能です。株式は短期売買をする方法もあれば、たとえば高配当株を中長期で保有しながら配当金をもらう方法もあります。

ある程度投資に慣れてくれば、成長投資枠で株式の保有や売買に挑戦するのもいいでしょう。

 

4証券口座とクレジットカードの組み合わせ活用法

つみたて投資枠におけるクレカの積み立て投資の概要を教えてください。

 

宮野 新NISAのつみたて投資枠では、毎月一定額を買い付ける積立投資をすることができます。積立投資をする際に、クレジットカード決済をすることで積立金額に応じてポイントが付与されます。

自動的に買い付けできるので、入金などの手間がないのもメリットでしょう。クレカ積立のポイント付与率やサービス内容は各社異なりますので、ご自身に合ったクレカ積立サービスを利用するといいでしょう。

 

クレカ積立をするならどの証券口座とクレカの組み合わせがおすすめかを教えてください。

 

宮野 クレカ積立でポイントとなるのは還元率です。一般的に積立投資は長期間かけて運用する投資方法ですから、同じ期間投資をするなら、還元率のよいクレカ積立が良いでしょう。

SBI証券のクレカ積立は、投資信託の保有と買い付けの2点でポイントが貯まります。SBI証券と三井住友カードのクレカ積立でVポイントが貯まり、ポイント付与率はカード種類によって0.5%~最大5.0%(2024年10月買付分まで予定のキャンペーン含む)となっています。

 

楽天証券、SBIなど、証券口座ごとのメリット・デメリットを教えてください。

 

宮野 手数料の安さや取扱数の多さを考えると、おすすめはSBI証券と楽天証券です。それぞれのメリットとデメリットも確認しましょう。

SBI証券のメリットは、キャンペーンや利用するカードにより還元率は違いますが、クレカ積立のポイント還元率が高いことです。複数のポイントサービスが利用できるのもポイントでしょう。IPO取扱数がネット証券1位なのもポイントです。一方で、対応ポイントが多すぎて迷ったり、管理しきれない場合もあります。

楽天証券のメリットは、楽天ポイントが付与されたり、楽天ポイントで投資ができるなど、楽天の他のサービスを利用している人には使いやすいところです。楽天ポイントのみな分、ポイント管理はしやすいでしょう。ただし、SBI証券も同じですがポイント還元率などは変更される場合もあるので、長い目で見て考えるといいでしょう。

宮野さん、一押しの組み合わせがあれば理由とともに教えてください。

 

宮野 Tポイントサービスを使われていた方も多いと思いますが、TポイントがVポイントとなりましたので、Vポイントを利用している方はSBI証券を検討されるといいでしょう。

一方で、楽天経済圏を利用されている方は楽天証券でまとめて管理するのも一つだと思います。

最後に読者にメッセージをお願いします。

 

宮野 新NISAで運用したり、証券口座を始められる際には、ご自身が普段使用されているポイントサービスではじめられるとポイントも管理しやすいでしょう。あわせて考えたいのが、投資商品やポイント還元率、使いやすさです。

金融機関によって扱っている商品や商品数、ポイント還元率、使いやすさ、手数料なども異なります。

新NISAをはじめたら、長期間利用される方は多いと思います。長い目で見て利用しやすく、お得な口座選びをしましょう。